ファイルサーバとNASの違いとは?
どちらがいいか選び方や特徴を徹底解説!

ファイルサーバとNASの違いとは?どちらがいいか選び方や特徴を徹底解説!

ファイルサーバとNAS、どちらもネットワークを使ってファイルを保存・共有でき、ファイルの作成・編集作業や情報共有の効率化をサポートします。この記事では、ファイルサーバとNASの違いから、ファイルサーバとNASの特徴、それぞれのメリット・デメリット、ファイルサーバとNASのどちらかを選ぶときのポイントなどを詳しく解説しています。さらに利用が進んでいるクラウド型ファイルサーバについても紹介しています。

ファイルサーバとNASの違いは?

ファイルサーバとNASは、ユーザから見れば「ネットワークを使ってファイルを保存したり、共有できる」という点は同じです。ネットワークの中でファイルの保存や共有のために使われています。どこが違うのか見ていきましょう。

ファイルサーバとは?

ファイルサーバは「ネットワークの中でファイル共有の役割を担うコンピュータ」のことを表す単語です。家庭やオフィスではコンピュータは無線LANやイーサネットケーブルで接続され、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を構成しています。LANなどのネットワーク内では、データをやり取りしたり、1台のプリンタを共有して使うことが可能です。そして、ネットワーク内で、その役割をデータの保存・共有に特化させたコンピュータをファイルサーバと呼びます。

ファイルサーバを使うことで、1つのファイルを多くの人で活用したり、別の人が作ったファイルを参考にしたり、1つの文書を皆で閲覧するなど、仕事の効率化や情報共有がより簡単に行えるようになります。さらにファイルサーバという単語は、この役割を担うサーバのみならず、少し広い意味として、こうしたファイル共有の仕組みやシステムのことを表すこともあります。
つまり、ファイルサーバは、コンピュータの用途、あるいは仕組みやシステムを表す言葉です。「ファイルサーバ」として販売されているコンピュータもありますが、社内の使われていないコンピュータをセッティングして、ファイルサーバとして使うこともできます。

そもそもサーバとは

サーバとは、ネットワークでつながったコンピュータからの要求に対して、何らかの機能・サービスを提供するコンピュータのことです。ファイルサーバはファイル共有機能を提供し、メールサーバはメール機能を、WebサーバはWebサイトの表示に必要なテキストや画像を提供しています。一方、ユーザが利用し、サーバに何かを要求するコンピュータをクライアントと呼び、この仕組み全体を「クライアント・サーバ・システム」と呼びます。現代のICTシステムの主流のシステムとなっています。

NASとは?

NASは「Network Attached Storage(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)」の頭文字で、日本語に訳すと「ネットワークに接続するストレージ」となり、商品名としては「ネットワーク対応ハードディスク」と呼ばれています。ファイルサーバがコンピュータの用途や仕組みを表していることに対して、NASは特定の商品カテゴリーを表しています。

機能や外見は、コンピュータにUSBケーブルを使って接続する「外付けハードディスク」と似ていますが、NASはUSBケーブルで1台のコンピュータと接続するのではなく、LANケーブル(イーサネットケーブル)あるいは無線LANを使ってスイッチやハブと接続し、LAN内で複数のコンピュータが共有して利用します。複数で共有して利用するため、ハードディスクドライブを複数台搭載した製品もあり、一般的な外付けハードディスクよりも大型です。

ネットワーク対応「ハードディスク」と呼ばれていますが、ネットワーク接続やファイル共有のために専用のOSやソフトウェアを搭載しており、その実態は機能をファイル共有に限定した小型のコンピュータです。高機能・高性能なNASのなかには、ファイルサーバと同じような追加機能を実現しているものもあります。

ファイルサーバとNASは何が違うのか

ユーザから見れば、基本的な使い方は、ファイルサーバもNASも同じと言えます。ネットワークにつないで、簡単な設定だけで使えるのがNAS、アクセスの権限設定など、高機能に使えるのがファイルサーバ、あるいは低コストで手軽に導入できるのがNAS、システム管理者による運用が前提となるのがファイルサーバと言えます。

具体的には、さまざまなファイルをLAN内で共有したり、閲覧することができます。誰かが作成した文書ファイルや表計算ファイルを流用したい場合、メールで送ってもらったり、USBドライブに保存してやり取りするのではなく、ファイルサーバやNASに保存しておけば、誰でも活用できます。
ファイルサーバとNASの違いは、ファイルサーバは、ファイル別・フォルダ別にアクセス権限や編集権限を設定できることです。より詳細なファイル管理が可能になります。

またファイルサーバは、汎用的に使えるコンピュータをファイルの保存・共有に特化させたものなので、ハードディスクを追加したり、冗長構成とするなど、拡張性が高く、カスタマイズが可能です。一方、NASは機能を限定し、特化しているので、導入しやすく、簡単に使用できますが、メニューとして用意されている以上のことはできません。

ファイルサーバの目的とは?

ファイルサーバの目的とは?

ファイルサーバ導入の目的を改めて整理してみましょう。
企業におけるファイルサーバの目的は主に次の3つ、ファイルの共有による作業の効率化、コンピュータリソースの有効活用、セキュリティ&バックアップにあります。それぞれ具体的に解説します。

目的1.作業の効率化

ビジネスでは日々、多くのファイルが使われています。文書、表計算、プレゼンテーションなどのファイルが作成されています。しかし、すべてのファイルが毎回、ゼロから作成されているわけではありません。すでにあるものを変更したり、誰かが作ったものを流用しています。ファイルサーバの目的は、さまざまなファイルを多くの人で共有し、日々の作業を効率化することにあります。

目的2.コンピュータリソースの有効活用

ビジネスで使用するファイルは、それほどデータ容量が大きなものではありませんが、それでも社員1人1人がノートパソコンなどにすべて保存していると、トータルで見たときには多くの重複があり、リソースを無駄に消費していることになります。ファイルサーバを使えば、そうした重複やリソースの無駄遣いを省くことができます。

目的3.セキュリティとバックアップ

仕事に必要なファイルを社員がノートパソコンに保存することは、外出先やリモートワークなどでオフィス以外で仕事をする機会が増えた今、セキュリティリスクの増大につながります。また重要なファイルを誰かのパソコンだけに保存しておくことはデータ消失のリスクも生まれます。データはファイルサーバに保存し、ファイルサーバにバックアップの仕組みやシステムを導入すれば、そうしたリスクを減らすことができます。

ファイルサーバとNASの特徴

ファイルサーバとNASの特徴を、ファイルサーバとNASの両方に共通すること、ファイルサーバならではの特徴、NASならでは特徴の3つにわけて改めて整理しましょう。3つにわけて整理した特徴を理解しておけば、想定される用途によって、ファイルサーバ、NASのどちらが向いているのかなどがより判断しやすくなります。

ファイルサーバとNASに共通する特徴

まずは、ファイルサーバとNASに共通する特徴を見ていきましょう。ファイルの保存と共有です。

特徴1.ファイルの保存

ファイルサーバもNASも、ネットワークに接続されたコンピュータ(クライアント)からファイルを保存することができます。社員1人1人が自分の使っているコンピュータのハードディスクにファイルを保存するのではなく、ファイルサーバやNASにファイルを保存するようにすれば、多くのファイルでハードディスクの空き容量が少なくなり、コンピュータの動作が遅くなったり、不具合が出ることを避けることができます。特に写真や動画など、日々の業務では使わないものの、記録として保存しておく必要のある、容量の大きなファイルはファイルサーバやNASに保存すると業務で使っているコンピュータのハードディスクの容量が少なくなってしまうことはありません。

また、作成したファイルを自分が使っているコンピュータと、ファイルサーバあるいはNASのどちらにも保存しておくこともできます。日々の作業は自分のコンピュータにあるファイルを使用し、区切りの良いタイミングや1日の作業終了時にファイルサーバやNASにも保存しておけば、万一、使っているコンピュータに不具合があった場合も、ファイルサーバやNASにファイルは残っています。

特徴2.ファイルの共有

ファイルサーバあるいはNASを使うと、ファイルの共有は簡単に行えるようになります。例えば、ある文書ファイルを社員全員に閲覧して欲しい場合、ファイルサーバやNASがない状況では、全員にメールで送信することが考えられます。これは全員が同じファイルを保存することになり、コンピュータリソースの無駄遣いです。ファイルサーバやNASなら、ファイルを1つ置いておくだけで、全員が閲覧できます。

誰かが作成したファイルを活用したり、流用することも簡単になります。ビジネスでは、似たようなファイルが必要な場面は数多くあります。毎回、似たようなファイルをイチから作成することは非効率的。別の人が作成したファイルを活用し、流用すれば、作業を効率的に進めることができ、その分、内容のクオリティをあげることに注力できます。
メールやUSBメモリなどを使って、ファイルをやり取りし、共有することは可能ですが、ファイルサーバやNASを使えば、そうした手間はかかりません。またファイルサーバやNASに、業務で活用できるファイルを保存し、共有することは、効率化だけでなく、社員の知識やノウハウの共有化にもつながります。

ファイルサーバならではの特徴

次に、ファイルサーバならではの特徴、ファイルサーバだから実現できる機能を見ていきましょう。
前述したようにファイルサーバは「ネットワークの中でファイル共有の役割を担うコンピュータ」です。使っているOSやハードウェア次第で、さまざまな機能を実現することができます。その意味では、次に紹介する機能は、あくまでファイルサーバで実現できる代表的な機能です。

●直接編集
ファイルサーバに保存されているファイルは、ユーザが使っているノートパソコンなどにダウンロードすることなく、そのまま編集することができます。
つまり、ユーザから見れば、ファイルサーバに保存されているのか、自分のコンピュータに保存されているのかは関係ありません。
コンピュータにあまり詳しくない人の中には、すでにファイルサーバか、自分のコンピュータかなどは意識していない人もいるでしょう。

●アクセス権限設定
ファイルサーバであれば、ファイル別、フォルダ別など、アクセス権限を詳細に設定することができます。例えば、閲覧は全員できるが、編集できるのは一定のアクセス権限を持った人のみに限定したり、ある部署の人しかアクセスできないようにすることなどが可能です。
その他にも、アクセスログで作業の履歴を確認したり、社内の他のシステムとの連携(例えば、認証サーバと連携させてアクセス権限を設定するなど)が可能です。

NASならではの特徴

NASは、これまでに説明してきたように、機能面はファイルサーバと比べるとシンプルなものになります。NASの機能は必要最低限なものであり、ファイルサーバはNASにない機能を持っていると言えます。つまり、機能面では、NASならではの特徴はありません。
ですが、ファイルサーバと比べたときに、NASならではの特徴がないことがメリットにつながっています。シンプルだからこそ、ネットワークに接続するだけで簡単に導入でき、利用できることです。極端に言えば、買ってきて、無線LANかケーブルでスイッチングハブか、無線LANルータにつなぐだけで、使うことができます。

ファイルサーバは、ネットワークの知識を持ったエンジニアによる設定が必要になりますが、NASは簡単に導入し、利用できることが最大の特徴であり、NASならではの特徴になっています。

ファイルサーバのメリット・デメリットについて

ファイルの保存・共有に関して、さまざまな機能を実現できるファイルサーバ。メリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

ファイルサーバの最大のメリットは、使用環境や利用条件に合わせてさまざまな機能をカスタマイズできることです。
ファイルサーバは、ファイル共有の役割を担うコンピュータなので、OSが持つファイル共有機能やソフトウェアを活用して、さまざまなカスタマイズをすることが可能です。
自社のビジネスの特性や業務プロセスなどに合わせて、最適な使い勝手や機能を構築することができます。
また、使い勝手とともに、高いセキュリティを確保することも可能です。

ファイル別、フォルダ別のアクセス権限以外にも、社員全員がアクセスできる領域と部署ごとにアクセスできる領域をわけたり、認証サーバと連携させて、アクセス権限を細く設定することができます。
サーバに対する不正アクセスを検知し、防止する仕組みを導入して、情報漏えいや不正な情報流出を防止することもできます。

ハードディスクを追加しやすいようにしておくと、保存容量の拡張も簡単です。保存するデータが増えた場合にも直ぐに対応可能です。
バックアップの仕組みを導入することもできます。毎日、ファイルサーバをバックアップしたり、重要なファイルにはテープバックアップを導入すれば、データの安全性をより高めることができます。

デメリット

ファイルサーバのデメリットは、メリットの裏返しと考えればわかりやすいでしょう。
最大のメリットは、さまざまな機能をカスタマイズできることでしたが、導入にはネットワークやサーバの知識とスキルを持ったエンジニアが必要になります。また、OSやソフトウェアのアップデート、日々の細かなトラブル対応なども不可欠です。
つまり、導入、そして運用に専門の知識とスキルをもった人員が不可欠となることが大きなデメリットと言えます。
ファイルサーバは導入して、使い始めると、日々の業務を支える重要なものになります。その分、運用の手間や負荷がかかることを頭に入れておきましょう。

専門的な人員だけでなく、導入・運用にはコストもかかります。ハードウェアのコスト、OSやソフトウェアのコスト、さらに安定的に運用するにはファイルサーバの設置場所を整備したり、電源を強化したり、無停電装置を準備することも考えられます。
いずれにせよ、高機能なファイルサーバを自社に合わせてカスタマイズし、場合によっては24時間365日、継続的・安定的に活用するためには、さまざまな手間とコストがかかります。

NASのメリット・デメリットについて

NASのメリット・デメリットも整理しておきましょう。ファイルサーバと比べると、NASは機能がシンプル。そのことがメリット・デメリットにも反映されています。

メリット

NASのメリットは、機能のシンプルさゆえに導入が簡単なことです。小規模なオフィスで、サーバやネットワークに詳しい人がいなくても、購入し、パッケージから取り出して、社内ネットワークに接続すれば使い始めることができます。
社内ネットワークへの接続や初期設定は、ネットワークの知識が多少必要になるかもしれませんが、それでもファイルサーバの導入と比較すると圧倒的に簡単です。接続ユーティリティが準備され、ほぼ自動で設定まで完了させる製品もあります。

運用にも基本的には手間がかかりません。搭載している専用OSやソフトウェアのアップデートが必要になることがありますが、多くの製品では基本的にアップデートは自動で行われます。
社内LANに接続し、電源を入れれば、すぐに使えると言ってもよいでしょう。
導入・運用の手間がかからないことは、そのまま導入・運用のコストがかからないことにつながります。ファイルサーバは、サーバとして使用するハードウェアを準備し、ファイルサーバとして使えるようにOSやソフトウェアを設定する必要がありましたが、NASは購入して、ネットワークにつなぐだけで済みます。
運用もサーバ管理者やネットワーク管理者は不要なので、電気代程度で済むことになります。

デメリット

デメリットは、機能がシンプルなこと、つまり機能が限られていることです。NASが製品として基本的に備えている機能以上のことは対応できません。
ファイルサーバは、OSやソフトウェアの設定によって使用環境に合わせてさまざまにカスタマイズできますが、NASはあらかじめ搭載された機能以上のことは対応できません。
ただし、少人数での利用を前提とした低コストなNASは基本的な機能のみの製品が多いですが、大人数での利用を想定した高機能なNASは、さまざまな追加機能を搭載しています。製品によっては、ファイルサーバに近い機能を実現しているものもあります。

また機能が限定的なため、セキュリティ機能も限定的になっています。搭載しているセキュリティ機能は、製品によってかなり変わってきます。
簡単に、ある程度のセキュリティを確保したい場合はNASでも対応可能ですが、データの保存・共有に対して高いセキュリティを実現したい場合は、NASよりもファイルサーバが適しているでしょう。
簡単に、手軽に導入できることがNASの大きなメリットですが、同時にその手軽さが機能面・セキュリティ面でのデメリットにつながっています。

ファイルサーバとNASはどちらを選ぶのがいい?比較ポイントを紹介

ここまで、ファイルサーバとNAS、それぞれの特徴やメリット・デメリットを見てきました。では実際、どのようなときに、ファイルサーバ、あるいはNASを選ぶのがいいのでしょうか。カスタマイズ性、セキュリティ、コスト、導入や運用の手間、利用できる範囲の5点から、今一度、ファイルサーバとNASを比較し、選ぶときのポイントを整理してみましょう。

比較ポイント1.カスタマイズ性

カスタマイズ性を求める場合は、ファイルサーバを選ぶことになります。ファイルの保存・共有という基本的な機能に加えて、詳細なアクセス権限の設定や、認証サーバとの連携、社内の他のシステムとの連携などを必要とする場合はファイルサーバを導入しましょう。NASでは、高度なカスタマイズには対応できません。
ただし、前述したようにNASも実態はOSとソフトウェアを搭載したコンピュータなので、ある程度のカスタマイズに対応できます。特に高機能な製品の中は、ファイルサーバにも使われているOSを搭載しているものもあります。
導入後の使い方を想定し、カスタマイズや機能拡張がどの程度必要かを見極める事がポイントです。

比較ポイント2.セキュリティ

データ保存・共有に際して、高いセキュリティ対策を求める場合も、ファイルサーバを導入することをおすすめします。
ファイルサーバであれば、セキュリティソフトやセキュリティ機器と連携させて、高度なセキュリティ対策を実現できます。アクセス権限も細く設定できるので、ユーザが権限を超えてアクセスしたり、誤ってアクセスして、機密情報や個人情報を流出させてしまうような事態を防ぐことができます。
NASももちろん、基本的なセキュリティ機能を備えていますが、あくまで搭載された機能の利用が前提となります。
セキュリティは今、重要な経営課題のひとつとなっています。求めるセキュリティレベルを十分に検討してください。

比較ポイント3.コスト

コストはファイルサーバとNAS、どちらを選ぶのがいいかを考えるときに大きなポイントになります。初期導入・運用コストはNASの方が小さくなります。
ファイルサーバは、ハードウェアのコスト、ソフトウェアのコストはもちろんのこと、導入にあたっての初期設定、日常的な運用にも専門の知識を持ったエンジニアを確保するコストが必要になります。
一方、NASは小規模オフィス向けであれば、数万円で導入できます。運用コストを重視する場合は、NASが第一候補となるでしょう。

比較ポイント4.導入や運用の手間

導入に必要となる時間や手間、日常的な運用の手間も、NASの方が小さくなります。NASは購入してパッケージから出し、電源をつないで初期設定を済ませればすぐに使えます。ネットワークの知識がなくても、接続や設定のためのユーティリティが用意され、手順に従って設定するだけで使えるようになっている製品もあります。
一方、ファイルサーバはハードウェアやソフトウェアの手配は、NASほど簡単ではありませんし、何よりも設定には専門知識を持ったエンジニアが必要です。日々の運用も専門スタッフが必要になります。
導入や運用の手間を重視する場合はNASを候補にすると良いでしょう。

比較ポイント5.利用できる範囲

ファイルサーバとNAS、どちらも利用できる範囲は基本的には同じネットワーク、つまり同じLANに接続しているコンピュータなどです。LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)の中でファイルを1か所に保存し、共有するためのものです。
ただし、最近ではリモートワークが一般化したこともあって、自宅など外部から社内ネットワークにアクセスするニーズが高まっています。外部からインターネットを経由して社内ネットワークにアクセスできるようにすれば、ファイルサーバ、NASのどちらもアクセス可能になりますが、セキュリティの強化は必須です。
外部からアクセスする機会が多くなる場合は、高いセキュリティ対策を実施しやすいファイルサーバの方がおすすめです。 また外部からのアクセスが多くなる場合は、クラウド型のファイルサーバを使うという選択肢もあります。

クラウド型ファイルサーバもおすすめ

クラウド型ファイルサーバとは、インターネットを介して利用するクラウドサービス上に構築されたファイルサーバのことです。クラウドサービスを利用するため、自社でハードウェアやソフトウェアを保有して運用するオンプレミスとは異なり、サーバを自社で購入し、セッティングして、運用する必要はありません。クラウドサービスをどこまで利用するかによって、クラウドサービスに用意されている仮想サーバに自社でファイルサーバを構築する、サービスとして用意されているファイル保存・共有サービスを利用するなど、いくつかのパターンが考えられます。いずれも、インターネット接続環境さえあれば、社内、社外を問わず、どこからでもアクセスできます。働き方改革やリモートワークが進展する今の時代に最も適しているのがクラウド型ファイルサーバと言えます。

クラウド型ファイルサーバの主な特徴

クラウド型ファイルサーバの主な特徴は、まず第一にその名前のとおり、「クラウド」であることです。クラウド(サービス)は、インターネットにさえ接続できれば、どこからでも利用できます。オフィスはもちろん、営業先、出張先、移動中の新幹線、さらにはリモートワークの自宅からでも、インターネットを介してアクセスすることができます。

オンプレミスのファイルサーバもNASも、外部からのアクセスを可能にすることはできますが、その場合は、不正アクセスやハッキングを防ぐためのセキュリティ対策を強化することが不可欠になります。リモートワークが急速に普及したことで、急いで外部からのアクセス可能にし、セキュリティに穴ができてしまう事例はすくなくありません。
クラウド型ファイルサーバは、最初からインターネットの利用が想定されていますので、強固なセキュリティ対策が行われています。

また、クラウド型ファイルサーバは、自社でハードウェアなどを手配する必要がありません。クラウド事業者があらかじめ用意しているメニューを選んで契約すれば、すぐに使えるので、ファイルサーバを自社で導入することと比べると、コストを大幅に削減できます。また運用の手間もかかりません。

クラウド型ファイルサーバの種類

クラウド型ファイルサーバは、クラウドサービスをどのレベルから利用するかによって、大きく2つの種類にわけることができます。自社構築型とサービス利用型です。

自社構築型は、クラウドサービスをインフラとして利用するものです。クラウドサービスが用意している仮想サーバ上に、自社でファイルサーバを構築します。これまでの「物理的なサーバ」が、クラウドの仮想サーバに変わったと言えます。

サービス利用型は、クラウドサービスがすでに構築済みのファイルサーバを利用する、あるいは、メニューとし用意しているファイル保存・共有サービスを利用します。
さらには、サービスとしてファイル保存・共有サービスを提供している事業者、いわゆるSaaSもサービス利用型の一種です。

自社構築型は、自社でファイルサーバを構築するため、そのためのエンジニアが必要にあり、構築の時間・コストがかかります。その分、自社にとって使いやすい、カスタマイズ性の高いファイルサーバになります。
サービス利用型は、すでにあるものを利用するので、すぐに利用できます。構築のコストは不要です。ただし、カスタマイズの範囲は限られたものになります。

クラウド型ファイルサーバのメリットについて

クラウド型ファイルサーバは、リモートワークに代表される新しい働き方をサポートできる、数々のメリットがあります。

まず最大のメリットは、インターネット接続環境さえあれば、どこからでも使えることです。別途、セキュリティへの配慮は欠かせませんが、自宅、カフェ、シェアオフィスなど、どこからでもアクセスできます。場所に囚われない働き方を支える仕組み・ツールとなります。 ハードウェアやソフトウェアは不要なので、導入コストを大幅に下げることができます。導入自体も、クラウドサービス事業者と契約するだけです。

また、コストは月額の利用料金のみ。自社でファイルサーバを運用する場合は、設置スペースや電気代はもちろん、日々の運用やトラブル対応のために、専門知識を持ったエンジニアが必要でしたが、クラウド型ファイルサーバなら、そうしたコストや手間も削減できます。特にサービス利用型なら、運用の手間はほぼなくなります。
セキュリティ対策も、クラウドサービス事業者が高度な対策を行っています。

クラウド型ファイルサーバのデメリットについて

デメリットは、一般的にクラウドサービスのメリットとしてあげられていることを反映しています。大きく2つのデメリットが考えられます。

1つ目は、毎月利用料金が発生することです。ファイルサーバやNASであれば、毎月の利用料金は発生しません。利用人数が多くなればなるほど、利用料金は増加していきます。

2つ目は、自社でファイルサーバを構築・運用することと比べると、カスタマイズ性は低く、社内システムとの連携などは難しくなることです。特にサービス利用型はすでにあるサービスに限られます。

ファイルサーバに関する相談ならNECフィールディングへ

ファイルサーバは、利用とともに容量が肥大化し、管理負荷が増大します。
NECフィールディングのファイルサーバ統合管理ソフトウェア「NIAS(NEC Information Assessment System)」は、ファイルサーバクセス権の管理や効率的な整理・削除、運用の効率化を実現。コスト最適化を実現するとともに、サーバの利用状況をグラフィカルにレポートし、不要データを整理することで毎年20〜30%の容量を削減。さらにアクセス権の管理・適正化によって情報漏えいのリスクを低減します。

NIAS構築サービスは、NIASの導入から運用保守までトータルにサポート。ソフトウェアのインストール・設定作業、動作確認、管理者教育、ドキュメント作成までスムーズに提供します。

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ファイルサーバ統合管理ソフトウェア NIAS構築サービス

ファイルサーバとNAS、特徴を見極めよう

ファイルサーバとNASはどちらも、ネットワーク内でファイルを保存・共有するためのもの。ファイルの作成・編集を効率化したり、情報共有をサポートすることで、仕事の効率性を高め、社員のクリエイティビティを高めます。また会社のコンピュータリソースの無駄を改善し、情報セキュリティを高めます。それぞれメリット・デメリットを理解し、自社に最適なものを導入してください。クラウド型ファイルサーバの導入もおすすめです。

発行元:NECフィールディング編集部

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