RE100とは?今注目されている再生可能エネルギーについて

RE100とは? 今注目されている再生可能エネルギーについて

世界の名だたる企業が加盟をしている「RE100」という国際イニシアチブをご存じでしょうか。
RE100は再生可能エネルギーですべての事業運営をおこなうことを目的に、2014年に発足しました。。
今回は、世界で200以上の企業が加盟するRE100の概要や、日本企業における加盟状況などについて紹介します。

RE100とは?

RE100(アールイー100)とは、環境保護を目的に活動する非営利団体の「The Climate Group(クライメイト・グループ)」が2014年に開始した国際イニシアチブです。
REはRenewable Energyの頭文字をとった略で、和訳すると再生可能エネルギーになります。
RE100という命名からもわかるように再生可能エネルギーを100%利用して事業運営をおこなっていくというのが目的とされています。

再生可能エネルギーとは、現在の日本で主に利用されている石油・石炭・天然ガスなど、有限である資源を必要とする化石エネルギーではなく、風力・太陽光・地熱といった自然界に存在するエネルギーのことを指しています。
その再生可能エネルギーを利用して発電した電力を使用することは、世界的に問題となっているCO2の排出量や、有限である資源(化石エネルギー)の枯渇を防ぐことができます。

そんな再生可能エネルギーを利用して、2050年までにすべて企業運営をおこなっていくと宣言した企業がRE100に加盟しています。(2020年で30%、2030年で60%、2040年で90%の中間目標も設定しています)

RE100プロジェクトの経緯

RE100プロジェクトが始まった経緯は、先ほど紹介した有限な資源を守ることやCO2の排出量を削減するといった再生可能エネルギーを使用する目的を果たすことに加え、地球温暖化や異常気象の増加も挙げられます。
企業が事業運営をおこなっていくうえでこれらの問題を悪化させないためにも、事業を100%再生可能エネルギーで運営することで、地球環境への負荷を軽減させることが必要との考えのもとRE100プロジェクトはスタートしました。

RE100の参加条件とは?

RE100への参加条件としては「再生可能エネルギー100の事業運営に向けた宣言」と「RE100事務局への報告書提出」という2つの条件が設けられています。

その2つの条件について詳しく見ていきます。

RE100の参加条件とは

再生可能エネルギー100%の事業運営に向けた宣言

RE100プロジェクトとして、100%再生可能エネルギーでの事業運営をおこなっていくことになりますので、まずはその事業運営に向けた宣言をすることが条件となっています。

RE100プロジェクトでは再生可能エネルギーの定義を以下の5種類のみに限定しています。

  • ● 水力
  • ● 太陽光
  • ● 風力
  • ● 地熱
  • ● バイオマス

国際エネルギー機関(IEA)が発表している「Key World Energy Statistics」によると、これら5種類の再生可能エネルギーを用いて発電されている割合は世界で22.8%、化石エネルギー+原子力の発電割合が76.7%ですので、現状では非常に難しい宣言であるといえます。

RE100事務局への報告書提出

RE100プロジェクトに加盟した企業は、プロジェクトの進捗を記した報告書をRE100事務局に毎年提出しなければいけません。
報告書は「CDP気候変動」の質問に答える形で作成し、電力の消費状況などは第三者監査を受けたうえで記載をします。
この報告書の内容はRE100の年次報告書やホームページなどで公開されることになります。

RE100プロジェクト加盟企業

続いて、RE100プロジェクトに加盟している企業について業界別・国別にそれぞれ見ていきます。

業界別にみる加盟企業

RE100には製造業や食品・消費財、ITなど様々な業界から企業が加盟していますが、業界別で見た際にもっとも多くの企業が加盟しているのが「金融業界」です。

業界別にみる加盟企業

2019年初頭のデータでは全体の23%が金融業界で、以下の有名企業が加盟しています。

  • ● ゴールドマン・サックス(アメリカ)
  • ● モルガン・スタンレー(アメリカ)
  • ● バンク・オブ・アメリカ(アメリカ)
  • ● シティグループ(アメリカ)
  • ● VISA(アメリカ)
  • ● ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(イギリス)
  • ● HSBC(イギリス)
  • ● アクサ(フランス)

この他にも、2019年2月時点で37社の企業が金融業界から加盟しています。

金融業界以外の加盟企業についても一部を抜粋して紹介します。

【食品・消費財】
● P&G(アメリカ)
● スターバックス(アメリカ)
● ケロッグ(アメリカ)
● コカ・コーラ・ヨーロピアン・パートナーズ(イギリス)
● ネスレ(スイス)
● ロクシタン(フランス)
【医療】
● ジョンソン・エンド・ジョンソン(アメリカ)
● バイオジェン(アメリカ)
● アストラゼネカ(イギリス)
● ノボノルディスク(デンマーク)
【製造業】
● HP(アメリカ)
● GM(アメリカ)
● BMW(ドイツ)
● フィリップス(オランダ)
● タタ・モーターズ(インド)
● レゴ(デンマーク)
【アパレル】
● NIKE(アメリカ)
● バーバリー(イギリス)
● H&M(スウェーデン)
【小売】
● ウォルマート(アメリカ)
● マークス&スペンサー(イギリス)
● テスコ(イギリス)
● イケア(スウェーデン)
【IT】
● マイクロソフト(アメリカ)
● Apple(アメリカ)
● Google(アメリカ)
● フェイスブック(アメリカ)
● ブルームバーグ(アメリカ)
● Adobe(アメリカ)
● eBay(アメリカ)

このよう各業界で第一線を走っている名だたる企業がRE100には加盟しています。

国別にみる加盟企業

続いてRE100に加盟している企業を国別にみていきます。
先ほど紹介した企業別の加盟企業からもわかるように、アメリカとイギリスから加盟している企業が非常に多く、全体の50%はこの2国を拠点としている企業となっています。

世界全体で加盟企業がある国は23ヶ国、その内訳は以下のようになっています。

【加盟企業のある国一覧(50音順)】
● アイルランド
● アメリカ
● イギリス
● イタリア
● インド
● オランダ
● オーストラリア
● カナダ
● シンガポール
● スイス
● スウェーデン
● スペイン
● 台湾
● 中国
● デンマーク
● ドイツ
● トルコ
● 日本
● ノルウェー
● フィンランド
● フランス
● ベルギー
● メキシコ

国別でみると北欧の企業が多く加盟していることがわかります。
ただし、RE100プロジェクトで掲げている再生可能エネルギー100%を実現するには各企業の努力のみでは実現できない背景があるのも確かです。
それぞれの国で抱えている環境問題や発電方式には大きく差がありますので、複数の国に事業所や工場を所有している企業ほどその難易度は非常に高くなってしまいます。
そのため再生可能エネルギー100%で事業運営をおこなっていくには、今後の事業展開についても検討しなければなりません。

日本企業の現状

ここまではRE100の概要や地球規模での加盟企業について見てきましたが、ここからは日本企業におけるRE100プロジェクトの現状について紹介します。

日本でも加盟企業は急増

先ほど国別に見る加盟企業で「アメリカとイギリスで全体の50%を占める」と紹介しましたが、アメリカの32%、イギリスの18%に続いて加盟企業が多いのが日本で、RE100プロジェクト全体の10%を日本企業が占めています。

日本でも加盟企業は急増

日本で初めてRE100プロジェクトに加盟を表明したのはリコーで、その後は積水ハウスやソニー、富士通、イオングループなどの大手企業も加盟し2019年9月現在で24社の企業が加盟をしており、今後も増えていくことが予想されます。

【RE100加盟の日本企業】
● 株式会社リコー(製造業)
● 積水ハウス株式会社(建築・不動産)
● アスクル株式会社(ロジスティクス)
● 大和ハウス工業株式会社(建築・不動産)
● ワタミ株式会社(その他)
● イオン株式会社(小売)
● 城南信用金庫(金融)
● 株式会社丸井グループ(小売)
● 富士通株式会社(製造業)
● 株式会社エンビプロ・ホールディングス(製造業)
● ソニー株式会社(製造業)
● 芙蓉総合リース株式会社(金融)
● コープさっぽろ(小売)
● 戸田建設株式会社(建築・不動産)
● コニカミノルタ株式会社(製造業)
● 大東建託株式会社(建築・不動産)
● 株式会社野村総合研究所(IT)
● 東急不動産株式会社(建築・不動産)
● 富士フイルムホールディングス株式会社(製造業)
● アセットマネジメントOne株式会社(金融)
● 第一生命保険株式会社(保険)
● パナソニック株式会社(製造業)
● 旭化成ホームズ株式会社(建設業)
● 株式会社髙島屋(小売)

しかし、日本においても再生可能エネルギーで事業運営をおこなうには大きなハードルがあります。
各企業が使用している電力は管轄の電力会社の提供しているものを購入するのが一般的です。日本における再生可能エネルギーによる発電方式の割合はわずか16.8%ですので、世界平均よりも6ポイント下回っていることになります。
日本全体で発電方式を化石エネルギーによるものに依存している限りは、RE100プロジェクトの目的を果たすことは難しいとの見方もできます。

環境省も再生可能エネルギー比率向上に向けて検討

ただし、日本におけるRE100プロジェクトには前向きな動きもあり、環境省は世界で初めてRE100の公的なアドバイザーとして参画しています。
また、環境省はRE100プロジェクトの普及活動をおこなっていく他、日本の再生可能エネルギーの発電比率を向上させるための検討を始めています。

環境省ではRE100プロジェクトを先立って実行しており、2019年には新宿御苑で年間30%を再生可能エネルギーによって運営する取り組みをおこなっています。2020年に30%の中間目標を掲げているRE100プロジェクトよりも前倒しで取り組みを進めています。
新宿御苑での取り組みをもとにロードマップを作成し、2020年以降はロードマップに基づいた取り組みを進め、RE100プロジェクトを早期に実現することを明言しています。

「環境省RE100の取組」(環境省)<https://www.env.go.jp/earth/re100.html>をもとに作成

再生可能エネルギーの調達方法について

RE100プロジェクトの目的である再生可能エネルギー100を達成するには、再生可能エネルギーを調達する方法を検討しなければいけません。

化石エネルギーによる発電が主となっている現在の日本において、再生可能エネルギーを調達するには、「再生可能エネルギーを自社で発電する」もしくは「グリーン電力の環境価値を購入する」方法が考えられます。

再生可能エネルギーの調達方法

グリーン電力の環境価値とは、太陽光発電や風力発電などは電力としての価値の他にも、CO2を排出しないクリーン電力としての価値も持っているという考え方で、そのグリーン電力を購入することで再生エネルギーを調達します。

ただし先述の通り、日本の発電方式は化石エネルギーへの依存度が高いため、グリーン電力の付加価値を購入するだけでは再生可能エネルギー100%を達成するのは難しいため、自社による再生可能エネルギーの発電を進めていくことがRE100プロジェクトを実現するためには必要になってくるといえます。

中堅企業こそ取り組むべき再生可能エネルギーの調達

現在RE100プロジェクトを牽引しているのは世界の名だたる大企業であることは間違いありません。
しかし、RE100プロジェクトを進めていくにあたり、その大手企業からの要求でサプライチェーンも対応を求められるケースが出てきており、この動きも今後加速していくことが予想されます。
大手企業からの受注を守り、事業を継続させるためにも、中堅企業こそRE100プロジェクトに積極的に取り組んでいくことで、企業としてアピールすることも可能になります。

NECフィールディングのRE100トータルサポートについて

しかし、再生可能エネルギーを調達するといっても、大量の太陽光パネルの設置や風力システムを自社で導入するには大きなハードルがあるというのは、多くの企業において共通していることかと思います。
そこでNECフィールディングでは、企業がRE100プロジェクトに積極的に取り組んでいけるよう、「RE100トータルサポート」を提供しています。

電気の小売業者から再生可能エネルギーの調達支援、自家消費型太陽光発電システムの導入、使用電力を抑えるために省エネタイプの照明・空調設備の入れ替えなど、100%再生可能エネルギーでの事業運営を実現するためのサポートを幅広くおこなっています。
また、毎年お客様のご希望や予算を反映して計画を見直し、設備の保守運用をおこなっていくことで、お客様の目標・計画に合わせてRE100プロジェクトを進めていくことが可能になります。

おわりに

RE100は世界的な環境問題を解決するためにも多くの企業が取り組んでいくべき国際イニシアチブです。
現在の発電方式のままではRE100の目標を達成することは難しいことは確かではありますが、日本では環境省の後押しや多くの企業が参画することで今後の発電方式は大きく変わっていく可能性はあるといえます。
NECフィールディングではRE100プロジェクトに取り組む企業をトータルサポートするパートナーとしてともに歩んでいきます。

NECフィールディングはお客さまのビジネスを支援するITシステムの設計・構築からその後のITシステムの運用・管理・保守までを幅広くサポートします!IT機器・システムはもちろん、それ以外の機器やNEC製品以外の機器(マルチベンダー)の対応も行なっています。
NECフィールディングは、3つの強み(技術力・展開力・ナレッジマネジメント力)を活用し、お客さまの課題や事業プランに合わせて、最適なビジネス環境をお客様と一緒に構築していきます。
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