サテライトオフィスとは?
導入のメリットやテレワーク勤務との違い、補助金など徹底解説

サテライトオフィスとは?導入のメリットやテレワーク勤務との違い、補助金など徹底解説

昨今の情勢変化にともない、各企業によるサテライトオフィスの設置が進んでいます。サテライトオフィスとはどのような形態のオフィスを指し、近年の普及にはどのような背景があるのでしょうか。
この記事では、サテライトオフィスの概要やテレワークとの違い、設置のメリットなどを紹介します。サテライトオフィス設置に際して活用可能な補助金・助成金制度も説明しますので、新設や追加設置をご検討の企業さまはぜひ参考にしてください。

サテライトオフィスとは

サテライトオフィスの「サテライト(satellite)」とは、日本語で「衛星」を表します。地球の衛星である月、太陽の衛星である地球や火星などのように、本社とは離れた別のエリアに設けられた別のオフィスという意味で用いられています。

サテライトオフィスと同様に、本社と離れた場所にある事業所として支社や支店があります。支社や支店とサテライトオフィスは、どのように区別されるのでしょうか。 サテライトオフィスは支社や支店よりも事業規模が小さく、常駐する従業員の人数が少ないオフィスを指しているケースが一般的です。
支社や支店とサテライトオフィスが区別される理由としては、設置の目的が異なることが挙げられます。支社や支店は「組織を維持し業務を推進すること」が設置目的ですが、サテライトオフィスの主な目的は「従業員の多様な働き方への配慮」です。

またサテライトオフィスは、設置エリアの特性により「都市型サテライトオフィス」「地方型サテライトオフィス」「郊外型サテライトオフィス」の3種類に分けられます。

サテライトオフィスが今注目されている理由

近年、さまざまな企業がサテライトオフィスの新規設置を行っています。国内のビジネス界でサテライトオフィスが注目されていることには、どのような社会的背景があるのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の蔓延

ご存じのとおり、2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、多くの業界でビジネスの方式の根本的な見直しが求められています。なかでも、一室に大人数が密集する状況や、人と人との頻繁な接触を可能な限り回避することが、感染症対策と円滑なビジネスを両立するため必要になりました。
このような状況を背景に、急速に普及しつつある働き方としてテレワークや在宅勤務が挙げられます。しかし企業によっては、個人が単独で行えない業務を多数抱えていることもあるでしょう。そのようなケースでは、1つのオフィスで働く人数の単位を極力小さくすべく、サテライトオフィスの新設を選択する場合も少なくありません。

働き方改革の推進

コロナ禍より少し以前にあたる2010年代半ばより、働き方改革が国策として推進されています。サテライトオフィス設置に対する関心は、働き方改革推進が始められた当時からすでに高まっていました。
働き方改革とは、働き方の多様化によってワークライフバランスの実現を目指しつつ、人手不足問題を解決に導き、生産性のさらなる向上を図ることです。働き方改革の具体的な手段として、在宅勤務やモバイルワーク、そしてサテライトオフィスの設置が挙げられます。

サテライトオフィス勤務とテレワーク勤務の違い

サテライトオフィスでの勤務とテレワークには、どのような違いがあるのでしょうか。実は、サテライトオフィスで働くことも広義なテレワークの一種にあたります。

テレワークという言葉は「既存のオフィスとは別の離れた場所で働くこと」を意味します。このため、在宅勤務や移動先でのモバイルワークだけではなく、サテライトオフィスで仕事をすることもテレワークに含まれるのです。 テレワークが「在宅勤務やモバイルワークなど、従来のオフィスとは離れた場所で働くこと」を指すなら、サテライトオフィス勤務は「テレワークの一種で、中核事業所と離れた小規模オフィスで働くこと」と考えると良いでしょう。

サテライトオフィスの種類

都市型のサテライトオフィス

大都市圏に設置されたサテライトオフィスを指します。中核事業所の所在地に別室のような形で設けられるケースも多く、営業担当者が中継地点として帰社せずに事務的業務を行えるスペースとしても活用可能です。
また、地方部に本社や中核事業所を置く企業が、大都市圏での事業拠点として設ける場合もあります。

地方型のサテライトオフィス

大都市圏に本社を置く企業が、地方圏に設けるサテライトオフィスを指します。主な設置目的には、豊かな自然環境のなかでリフレッシュしながら生き生きと働くことや、地域の雇用創生などが挙げられます。
地方自治体によるサテライトオフィスの誘致で設置が実現するケースもあり、補助金・助成金制度が設けられていることも少なくないため、近年新設する企業が増えています。

郊外型のサテライトオフィス

大都市圏のベッドタウンに代表される、都市部の郊外圏に設けられたサテライトオフィスを指します。郊外から大都市圏のオフィスに通勤する従業員の通勤負担軽減や、交通費の削減など、働き方改革や業務効率化が設置の主な目的です。

サテライトオフィスを導入するメリット

2019年4月から順次施行されていった働き方改革関連法ですが、2021年4月にはすべての施行が完了しました。中小企業も含め、すべての企業で、働き方改革に対応していかなければならなくなっています。

社員の生産性の向上につながる

従業員の住居や営業先の近くにサテライトオフィスを設けることで、通勤や営業活動における移動にかかる距離や時間を削減できます。これにより従業員の働き方にゆとりが生まれ、ワークライフバランスの実現を目指せるとともに、各従業員の生産性向上にもつながります。
また、サテライトオフィス設置により従業員の通勤や営業にかかる交通費も削減できます。移動が減ることは従業員側にとどまらず、企業側にも大きなメリットとなりうるでしょう。

災害時のBCP(事業継続計画)対策

BCPとは、地震や台風などの自然災害、大規模火災やテロなど万一の事態に直面しても、事業の継続または早期復旧を図るための計画です。
本社・支社など既存の事業所に加え、サテライトオフィスを設けておくことで適切なリスクの分散が可能となります。緊急を要する事態においても、全面的な事業停止といった最悪の状況もリスクの分散によって回避できるでしょう。このためサテライトオフィスを設置することは、BCP対策の一環としても有効な手段といえます。

地方の優秀な人材獲得につながる

大都市圏だけではなく、地方部にも優秀な人材が数多くいます。彼らは都市部で働けないさまざまな事情を抱えていることも少なくなく、従来は各地に支社や支店を構えなければ採用は困難でした。
しかしサテライトオフィスの設置により、必要な業務に適した人材を適した地域で確保することを実現できます。

育児・介護などによる離職率の低下につながる

出産後の育児や、高齢の家族の介護を理由とした従業員の離職は、企業にとって大きな問題となっています。育児・介護による優秀な人材の離職を回避するためにも、サテライトオフィスの設置は有効策です。サテライトオフィスを設けて育児・介護の現場となる自宅と職場の距離を近くすることに加え、働き方そのものを柔軟にすることにも取り組みましょう。

サテライトオフィスに関する助成金や補助金

サテライトオフィス設置等補助事業

東京都が実施している、感染症対策と経済活動の両立を目的としたテレワーク推進のための補助事業です。具体的には、都内23区外の市町村部を中心とする地域へのサテライトオフィス設置に関する、整備・運営費の補助を行っています。
すでに申し込みを終了している令和3年度分については、企業・団体が対象となる民間コースと、区市町村が対象の行政コースの2種が用意されていました。

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

令和2年度まで実施されていた「働き方革新推進支援助成金(テレワークコース)」が終了し、その後継として設けられた制度です。中小企業を対象とし、労働環境改善や残業削減など、働き方改革の一環としてテレワークを導入する際に費用の一部が助成されます。
サテライトオフィスの設置もテレワーク導入の一環とみなされるため、この制度を活用可能です。
助成は2段階に分けて実施され、まずテレワーク導入に際し設けられた基準を満たすと「機器等導入助成」を受けられます。その後、離職率などの目標を達成することにより「目標達成助成」を受けることができます。
ただしサテライトオフィス設置にこの制度を活用する場合、オフィスの賃料やオフィス内に設ける機器購入費用は助成の対象外となります。

IT導入補助金

経済産業省が設けている補助金制度です。IT導入補助金とは通称で、正式な名称は「サービス等生産性向上IT支援導入支援事業」です。中小企業や小規模事業者などが対象で、課題解決や業務効率化を目的としIT機器や設備・ツールなどを導入する際にかかる費用を補助します。

テレワークマネージャー相談事業

補助金や助成金を受けられる制度ではありませんが、ICTなどの専門家であるテレワークマネージャーによるコンサルティングを無料で受けられるものです。
サテライトオフィス勤務を含むテレワークに適した機器やシステム、情報セキュリティに関するアドバイスを受けることができます。それ以外にも、労務管理などテレワークに関するさまざまな情報について知ることができ、導入に関するサポートも受けられます。

企業がサテライトオフィスを導入する際の注意点

セキュリティ面での注意が必要

既存の事業所と別の場所にサテライトオフィスを設ける際、気を付けるべき点としてセキュリティへの配慮が挙げられます。
特に、複数の他社と共用するタイプのサテライトオフィスの場合は、社外の人も多く出入りするため情報漏えいのリスクを意識しなければなりません。会議などの内容を外部の人に聞かれないよう注意を払うことをはじめ、PCなどの機器や機密情報の管理に関するルールを取り決めておく必要があります。

社員間のコミュニケーション促進が必要

サテライトオフィスを設けて職場を分散させると、従業員間の物理的な距離が生まれてしまいます。それにより社内コミュニケーションが困難になったり、業務の進捗確認が滞ったりしないよう、あらかじめ対策をとっておきましょう。
有効な手段としては、Webミーティングツールやグループウェアの活用などが挙げられます。随時交流や情報交換を闊達に行えるよう、遠隔コミュニケーションを図れる環境を整えておきましょう。

まとめ

サテライトオフィスを設けることで、感染症対策と経済活動の両立を図りながら、業務効率化の実現にもつなげられます。また柔軟な働き方が可能となり、育児や介護による離職を回避できるなど、雇用する側とされる側の双方に大きなメリットがあります。
働き方の多様化が求められる昨今、サテライトオフィスの導入によって業務改善を図ることを検討してみてはいかがでしょうか。

発行元:NECフィールディング編集部

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