2016年8月30日第1回 九州旅客鉄道株式会社
The Innovator ~ イノベーションを支える人たち~
日本のものづくりの原点は、技術者や開発者のたゆまぬ努力や切磋琢磨にあります。細部にこだわり、究極をめざして技術開発に取り組む……。その姿勢は、まさにイノベーター(革新者)といえるでしょう。 ここでは、ものづくりの現場で技術者や開発者がどのような取り組みを行ったか、その軌跡を紹介します。
クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」
旅のイメージで「鉄道」を思い浮かべる人は少なくない。九州新幹線や北陸新幹線、東北新幹線の北海道延伸で寝台列車が次々と姿を消していく中、列車は乗る楽しみよりも移動手段としての位置付けが濃厚になっている。そんななか、極上の列車の旅として登場したのが、九州旅客鉄道(JR九州)のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」だ。クルーズトレインをコンセプトに、専用の豪華車両で九州の観光地を巡る1泊2日と3泊4日の旅。2013年10月の運行開始以来、申し込みが殺到。豪華列車による旅という新たな市場を開拓した。
九州を巡る豪華列車の旅
上質のおもてなしで提供
列車で旅したい人たちにとっては、豪華な客室や食堂車での楽しい食事は憧れであり、経験した人には忘れられない思い出となっている。そうした思いに応えるように、あるいはそれ以上の上質の実現を目指したのが「ななつ星 in 九州」だ。
2016年10月から2017年2月のツアー(予約受付は終了)では、九州を一周する3泊4日の旅で、DXスイートA(1室のみ)が2名1室利用で1人80万円か85万円。12室あるスイートは2名1室利用でもっとも安い時期で1人53万円。利用できる人数は列車全体で14室28人、最大でも30人なので、抽選の競争倍率は非常に高い。
すでにある寝台車や食堂車を用いるのではなく、すべてを新しくつくった豪華な設えがセールスポイントの一つ。また、豪華な内装の車内や客室にくわえて、車内で供される食事は九州の特産品を用いて贅を極めた内容。ツアー客をもてなすクルーは専門の教育を受けており、上質のおもてなしとは何かを理解し身につけている。また、3泊4日の全行程のうち1泊は鹿児島県・霧島の名旅館に宿泊するように設定されていることも特徴だ。
このように、これまでの常識を覆したクルーズトレインという新たな旅を楽しめるので、その旅を体験すると、再びその感動を味わいたくなるそうで、一度乗車された方の20%近くが再び申し込むという。