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2017年9月19日第6回 JRA騎手 藤田菜七子さん

馬の状態や他の騎手をみて展開をシミュレーション

――競馬学校を卒業して3月3日に川崎競馬でのデビューレースを迎えます。16年ぶりの女性騎手誕生で盛り上がりました。

藤田 私自身は、「女性だから」とかは意識していませんでした。だから大きく取り上げられたのには本当に驚きました。繰り返しになりますが、男性だからとか女性だからという意識はまったくなくて、皆と同じことをやっているだけ、というのが正直な思いです。それは今でも変わりません。 デビューレースは緊張しました。そしてものすごく不安でした。競馬学校で模擬レースは何度も経験しますが、やはり本番は違います。観客も入っているし、先輩の騎手と競わなければなりませんから。3月3日の第1レースでの出走でしたが、スタートで立ち上がった馬がいて除外になり、スタートがやり直しになったんです。それで拍子抜けしちゃったのか、緊張がほぐれました。

――レースではいつも一着になるつもりでゲートに入るのでしょうか。

藤田 もちろん勝つためのシミュレーションは頭の中で組み立てているんですが、騎乗する馬の状態を考えたり、レース展開を予想したりすると、難しいレースかなという時もたくさんあります。なかなか思い通りにはいきません。
他の出走馬を見て、自分が騎乗する馬のことも考えて、このレースは最初から逃げようかとか様子をうかがって、仕掛けるタイミングを考えて……、ということはするんですが、相手もいるし、馬が走りたがっているかそうでないかなど条件は様々で、それも刻々と変化するので難しいですね。思い通りの展開と思っても、それは自分だけが思っていることではないですし。他の騎手も一着を狙っていますから。
レースの何日か前には、競馬新聞を見て出走する馬をチェックし、どの馬がどんなレース運びで勝っているのかなどを調べ、自分の騎乗する馬の持ち味をどう発揮させようかと考えてレースプランを組み立てます。でも、馬も生き物で性格も様々。機嫌が良かったり悪かったり、走りたいのかそうでないのか、レースごとにすべて違います。騎手はその様子を探りながら最高のパフォーマンスを発揮できるように手綱をさばくんですが、それが本当に難しいのです。

レース展開のシュミレーションの難しさと楽しさについて語る藤田菜七子 騎手。自分の騎乗する馬の状態や他の出走馬のことも調べた上でレースプランを組み立てる。競馬の難しさと楽しさ、そして醍醐味を語ってくれました。

出走する騎手が全員勝つことを考えていると思いますし、本当に難しいことばかりですが、それが楽しさや醍醐味にもなってきます。だからこそ一着でゴールした時は、本当に嬉しいんです。

競馬の騎手や厩務員(きょうむいん)を目指す女性が増えてほしい

――これからの目標を教えてください。

藤田 レースになれば、先輩も後輩もなく全員がライバル。ですがやっぱり経験はまだまだ少ないし、技術でも確実に劣る面があると痛感しています。でもそこが弱みになっていては勝つことはできません。自分の特長を見つけて有利なレース展開に持っていくことができるようにならなければならないと感じています。今は少しでも多くのレースに出走し、様々な馬に騎乗させてもらうことで経験を積み、毎レースが挑戦だと思って取り組んでいます。その中で早く自分の強みを見つけて、それを生かしたレースができるようになりたいですね。 だから目標は「次の1勝」です。その目標を達成したら、また「次の1勝」が目標になる。それがずっと続くことになると思います。そして何年後かはわかりませんが、信頼されて愛される騎手になりたいですね。

――藤田さんが活躍する姿を見て、騎手になりたいという女の子が出てくるかもしれません。

藤田 私は騎手になってまだ2年目。騎手になりたいという女の子に向けてアドバイスをするような立場ではないんですが、今言えることは「あきらめずに目標に向かって行きましょう」ということくらいです。 私もくじけそうになったことはありますが、その時は周りの人たちに支えられました。何よりも夢を追いかけたいという気持ちがあきらめようとする気持ちに勝っていました。夢をあきらめずに、それに向かって取り組んでいれば、また違う道も拓けてくるんじゃないかなと思います。

「たくさんのレースに出場し経験を積み、勝利を重ねてゆきたい」と今後の目標を笑顔で語る藤田菜七子 騎手。

 日本は海外と比べて女性騎手も女性の厩務員もすごく少ないんです。これから騎手だけでなく厩務員を目指す女性がどんどん出てきてほしいと思います。とはいえ私自身がまだ発展途上。これからたくさんのレースに出て経験を積み、勝利も重ねていきたい。いずれは大きなレースに出て勝ちたいという欲もあります。そのために体を鍛え、技術を磨き、レースの後には何度もレース展開を見直して勉強する毎日です。

プロフィール

藤田 菜七子(ふじた・ななこ)さん

JRA所属騎手
1997年生まれ。JRAとして16年ぶりの女性騎手。JRA競馬学校卒業後の2016年3月3日に川崎競馬でデビュー。3月24日浦和競馬第3レースで初勝利。その後4月10日福島競馬第9レースでJRA初勝利。「競馬場はファミリーで来ても楽しい場所」と、自身の活躍で競馬の楽しさを伝え、競馬ファンを増やすことにもつなげたいという。

ホリプロ所属のJRA女性騎手、藤田菜七子 騎手のプロフィール写真

(撮影:清水タケシ)
【監修:株式会社日経BPコンサルティング】
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