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2016年12月20日第3回 株式会社ビクセン 新妻和重氏

「宙ガール」のコンセプトで女性層にもアピール

--すそ野を拡大するという点で、女性をターゲットにした「宙(そら)ガール」という取り組みもユニークですね。

星空グッズ

新妻 様々なイベントを見ていると、女性もたくさん集まっています。椅子を用意しておけば、そこに座って星の観望を楽しんでいる女性は多いんです。もっと女性が興味を持ってくれる方法を考え出せれば、女性層も開拓できるはずです。そこで、「星を見よう」というコンセプトをもっとわかりやすい言葉にしようという発想から「宙」が生まれました。

星空あそび部

「空」ではなく、夜空や星空をイメージできる言葉を探していて、宇宙の「宙」がふさわしいだろうと。「宙」を「ソラ」と読ませるのは、これまで機動戦士ガンダムのタイトルくらいでしたが、「宙ガール」を商標登録してライフスタイルのひとつとしてアピールしてみました。女性でもアウトドア志向の人は少なくありませんし、星空が好きな人もたくさんいます。天体望遠鏡はハードルが高い……という女性に向けて、「双眼鏡で星を見ませんか」という提案として、カラフルな双眼鏡や星座を見つけるために使う、宙ガール向けのオシャレな星座早見盤なども発売しました。宙ガールを対象にしたイベントも開催するなど、普及活動に力を入れています。

ビクセン発行のハンドブック『星空のあそび部』

--スーパームーンや毎年11月のしし座流星群など、宇宙や天体の話題がテレビのニュースでも紹介されるようになりました。天体への関心も高まってきたように感じます。

新妻 昔はそういう情報がなかったので、今のように天気予報やニュースで取り上げてもらえるのは嬉しいですね。ただ、「今晩は流星群が見られます」と言われて、すぐに天体望遠鏡や双眼鏡を買いに走る人はいませんから、2012年の日食の時のように、前もって盛んに紹介してくれるとさらに嬉しいのですが。その時は観察用の日食グラスが売れましたので(笑)。もっとも、この10年で着実に星空に興味を持ってくれる人が増えています。我々が参加するイベントの集客にもそれは表れています。

 長野県下伊那郡に阿智村というところがあります。「日本一の星空」をアピールしている村で、スタービレッジ阿智誘客促進協議会という協議会を発足させ、星空を見に来る観光客を誘致し、今では年間10万人のお客さんを集めています。ビクセンも協議会のパートナー企業として参加していますし、パートナー企業には多くの大企業も参加しています。日本一の星空というローケーションを持ち、それに共感する企業がパートナーとして名を連ね、観光客を集めることができる。つまり星空をビジネスにできるということであり、「星を見せる会社」としてのやりがいもあります。

自然科学をメジャーにする一翼を担う存在に

--そうした中でビクセン社長としての夢はなんですか?

新妻 ビクセンは「自然科学応援企業」というミッションを持ち、「星を見せる会社」をビジョンとして掲げています。この10年近くでイベントを含めて様々な取り組みを行ってきたことで、「VIXEN」というブランドは認知されてきたと感じています。最終的に自然科学に興味を持つ人が増え、自然科学がメジャーになれば嬉しいのですが、それは我々だけでできることではありません。また、自然科学がメジャーになってもビクセンががんばったので、という人はいないでしょう。阿智村でも多くの有名企業がパートナーになっているように、たくさんの人々や企業が共感して同じ方向に進むことが大事です。

 我々は、その一翼を担う存在として“モノづくり”と“コトづくり”で自然科学をメジャーにしていきたい。天体望遠鏡や双眼鏡、顕微鏡の開発と製造といったハードウェアを提供するとともに、これまでのように星空観望会や“スターパーティ“をテーマとしたイベントの実施、「宙ガール」のような新たなコンセプトを打ち出して、星空に興味を持ってくれる人たちを開拓していく、それがビクセンの企業活動の軸として変わらないと思います。

--新妻社長自身も山に登り、星空を見るのが趣味とうかがいました。

新妻 歩くことが好きなんです。先日も京都の高雄山から嵐山など歩きました。ちょうど紅葉の季節で、大変な人出でした。登山はたいてい妻と行きます。山に登ってテントで一泊するときは、星を見るための双眼鏡を持っていきます。標高が高くなれば、それだけ空気が澄んで星空が良く見えますから。冬は星空を見るにはにはいい季節です。だから冬山にも登りますよ。あまり危険な山には行きませんし、テントを張るのも安全な場所と決めているのですが、ただ社員が心配するので、スケジュールにはどこの山を登るかを書き入れておきますし、SNSで「これから山に入る」とか「下山した」とかの情報はちゃんと発信するようにしています。

ビクセンの宙グッズ。左から「星座早見盤」、「宙トートバッグ」、「宙シート」

星座早見表

宙トートバッグ

宙シート

 

プロフィール

新妻 和重(にいつま・かずしげ)氏

株式会社 ビクセン代表取締役社長

1966年生まれ。中央大学付属杉並高校、中央大学商学部を卒業後に会計事務所に就職。2005年ビクセン社外取締役就任、2007年に8代目の社長に就任。

新妻和重

(撮影:中根祥文)
【監修:株式会社日経BPコンサルティング】
記事中の意見・見解はNECフィールディング株式会社のそれとは必ずしも合致するものではありません。