2016年6月15日第1回 ロボットクリエーター 高橋智隆氏
愛着を持てるロボットの開発で、人の考え方のすべてを記録する
--コミュニケーションや音声認識に注目して開発されています。
スマホの音声認識は機能的には非常に優れているのに、多くの人は使いません。それがスマホのほぼ唯一の欠点です。
なぜ音声認識機能は使われないのでしょうか。それは、スマホが四角い箱だからです。ところが、話しかける相手が犬や猫であれば、さらには金魚やカメだとしても、人は話しかけるわけです。それは相手に命を感じ、愛着があるからです。今までの工業製品で、そうした人の命への愛着を生かしたものはありません。
そこで、人間の感性や感情移入を利用して、愛着心を持てるような製品を作ることができれば、性能やコストの競争とは違う次元での価値が生まれます。愛着心が湧き、たくさん話しかければ、情報が蓄積され、レコメンドが正確になり、より信頼できるようになっていきます。そこでもたくさん新しいサービスが生まれるでしょう。
それが第二段階で、さらに第三段階にいくと、人が立ち止まったら写真を撮ってくれるモードがあって、その写真を見て、ロボットが撮影場所や日時を回想して話す。そうすると、次第にロボットと一緒に旅行にいったような気分になってきます。これは男女の関係と同じで、最初は好奇心から始まって、次に会話が弾んでコミュニケーションが円滑になっていき、信頼が生まれます。そして、最終的には老夫婦のように経験を共有したことが最大の財産だという関係になっていくのです。
--そうした人型ロボットは、人間にとってどういう存在になるのでしょうか。
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人間の生活や価値観を変える大きな役割を果たすのではないでしょうか。 |
高橋智隆(たかはし・ともたか)氏
株式会社ロボ・ガレージ 代表取締役社長
東京大学 先端技術研究センター 特任准教授
ロボットクリエイター
1975年生まれ。2003年、京都大学工学部卒業。卒業時に「ロボ・ガレージ」を創業し、京大学内入居ベンチャー第1号となる。代表作に「RoBoHoN(ロボホン)」「週刊ロビ」「KIROBO(キロボ)」「エボルタ」など。米TIME誌「2004年の発明」、ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選出。ロボカップ世界大会5年連続優勝。大阪電気通信大学客員教授、ヒューマンキッズサイエンスロボット教室顧問を兼任。

(撮影:清水タケシ)
【監修:株式会社日経BPコンサルティング】
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