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2017年9月8日第5回 RPA

オフィスの自動化、新しい波の訪れ

 RPAはロボティック・プロセス・オートメーションの略である。「ロボット」というと「機械」のイメージだが、RPAでは、機械のロボットが工場で一定の作業パターンを繰り返して自動化するように、オフィス業務の定型的なプロセスをソフトウェアで自動化することを「ロボット」と呼んでいる。人手不足が続く中、オフィスの業務処理を人の代わりに効率的にこなしてくれる、頼りになる援軍である。
 「ソフトウェアロボット」は、実はすでにほとんどのインターネットユーザーがその恩恵を被っている。最も利用しているのが「検索ロボット」だ。グーグルをはじめとした大規模検索サービスでは、ロボットが世界中のネットワークの中を走り回って情報を集め、データベースに整理・蓄積する作業を繰り返している。ユーザーはこのデータベースに「検索キーワード」でアクセスして求める情報を探す。すでにインターネットの世界ではロボットが働いているのである。

 RPAは、このようなソフトウェアロボットを繰り返しの多いオフィスの情報処理プロセスに適用する。もっとも、オフィスの業務プロセス全体に適用するのではない。事務担当者がパソコン上で取り扱うプログラムやデータの定型処理業務が自動化の対象だ。例えば、表計算ソフトに記入されている特定のデータをコピーして別の処理システムのデータとして貼り付ける、という定型的な作業の自動化である。事務担当者が手作業でコピー&ペーストしているのを、対象になるデータの種類や作業手順を入力して、ノンプログラムで自動化システムを開発できる。

 LPWA

(Illustration : Saho Ogirima)

 実際の現場では、保険会社や大規模なネット通販会社のバックオフィスで利用が進んでいる。顧客番号を入力すると、社内システムの中をロボットが動き回り、その顧客の契約関連のデータや購入データ、入金状況、取引記録などのデータを集めてくる作業である。このような、同じ作業を繰り返すプロセスがソフトウェアロボットで自動化され、大幅な効率化が実現した。「総作業時間が8000時間短縮された」などの効果も伝えられている。
 もちろん中小規模の事業所でも効果が上がっている。データ検索や入力などの作業はほとんどが人手に頼っている。中小の事業所ほど人手不足は深刻になっているので、そのメリットが理解されるにつれて、RPAへの移行が進む企業が増えてきそうだ。
 実際にRPAを使い始めてみると、オフィスの生産性向上は予想以上であるという評価が定着してきた。これまでオフィス業務の中でも知的能力を必要としない単純事務作業が適用範囲になる。こうした労働集約的な作業を自動システムに任せる。
 中核のビジネスマンは知識や知恵の必要な知的活動に集中できるので、仕事の質が上がってゆく。付加価値を拡大する業務に集中して企業の収益力を向上させる。
 工場の現場では機械ロボットによる生産性の向上が進展しているが、今度はソフトウェアロボットによるオフィスの生産性向上が進展する。

文=中島 洋[Nakajima Hiroshi]

株式会社MM総研 代表取締役所長
1947年生まれ。日本経済新聞社でハイテク分野などを担当。日経マグロウヒル社(現・日経BP社)では『日経コンピュータ』『日経パソコン』の創刊に関わる。2003年、MM総研の代表取締役所長に就任。

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