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2019年12月8日第11回 慶應義塾大学病院様 光触媒環境浄化装置導入事例

慶應義塾大学病院様

DATA
慶應義塾大学病院

 


開院:1920年
病床数:960床

 

一日あたりの平均外来患者数は約3000人と国内最大規模の病院の一つである。
2018年5月に新病院棟が竣工している。
特定機能病院、臨床研究中核病院等に指定されている。

無菌室での臭い除去で光触媒環境浄化装置の実証実験を実施

慶應義塾大学病院様の血液内科が診られている病気の多くは白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍であり、様々な治療が行われます。
その中に造血幹細胞移植を実施する際に発生する薬品由来の不快な臭いがあります。
森毅彦准教授はこの臭いの除去に盛和環境エンジニアリングが製造し、NECフィールディングが販売する光触媒環境浄化装置が使えるのではないかと考え、実証実験に取り組みました。

光触媒に可能性を感じメールで直接連絡

――光触媒環境浄化装置に関心を持たれたきっかけを教えてください。

森 毅彦 氏

慶應義塾大学医学部
血液内科
准教授
医学博士
森 毅彦 氏

 血液内科で診る患者さんは免疫力の低下している方が多く、感染症を防ぐためには空気をきれいにすることや徹底した環境清掃が欠かせません。そのためにいつも環境浄化に関する情報を収集しています。そのような中で雑誌『日経メディカル』で光触媒浄化装置が空気をきれいにするだけでなく、脱臭効果も期待できると知り、私たちが造血幹細胞移植を保存する際に使用するジメチルスルホキシドという薬品に伴う不快な臭いも除去できそうだと思い、直接メールで連絡をとりました。

――その不快な臭いは特別なものなのでしょうか。

 ジメチルスルホキシドは体内でジメチルスルフィドになり、呼気に排泄されます。その臭いは強い磯の香とか腐敗したニンニクの臭いなどと比喩されるかなり不快なものです。臭いを消すには空気を入れ替えるのが理想なのですが、移植患者さんが治療を受ける防護環境病室(無菌室)は十分な換気ができません。この臭いは1日から数日は持続するため、他の患者や医療従事者にとってもよい環境ではありません。いくつかの装置を試みましたが、十分な効果を発揮するものはありませんでした。

――光触媒環境浄化装置なら効果が期待できるとお考えになられた理由は?

 最初に機器の構造や性能を教えてもらった時に、光触媒は硫化アリルを分解する効果を示す文献があることをご紹介いただきました。であれば、光触媒を使うことでジメチルスルフィドの臭いを消臭できると思いました。
また、装置自体はあくまで臭いがこもっている環境を脱臭するもので、薬品を使用しないため、患者さんの健康被害につながる恐れがない、という安心感がありました。病院環境を改善できることは、患者さん、そして医療従事者にとってもメリットのあることなので、すぐに試すことにしました。

専門的な知見を得て実証実験に成功

――実証実験はどのように行われたのでしょうか。

 ジメチルスルホキシドを含む造血幹細胞を移植した後に、機器を稼働させ、室内の臭気がどれくらい変化していくのかを検証することにしたのですが、実際の検証では、条件を調整して、検討できるようにするために少し苦労しました。
何度かトライアンドエラーを繰り返して、一定の条件を整えることができました。

――効果は確認できたのでしょうか。

 移植30分後には悪臭原因物質の濃度が上昇し、臭気強度は2.7~3.0という「誰もが楽に臭いを感知するレベル」に上昇しましたが、光触媒環境浄化装置を稼働させることで、45分後には急速に低下し、60分後には「やっと感知できる臭い」あるいは「何の臭いであるかわかる弱い臭い」のレベルまで低下しました。

       

光触媒環境浄化装置

喫煙室から病院・介護施設、研究所まで幅広く使用できる
光触媒環境浄化装置「SPP-20iT」

――NECフィールディングからは、実証実験にあたってどんなサポートがあったのでしょうか。

 期待していた以上でした。全面的にご支援いただきました。例えば、臭いの強度について客観的な数値を使うべきであり、具体的な測定方法についてもご提案していただきました。また実際に現場に足を運んで測定作業もサポートいただきました。
 これまでもジメチルスルフィドの臭いについては不快であると感じていましたが、それはあくまでも感覚的なものなので数値化することはできていませんでした。こうしたことを専門家の視点から多数ご指導いただき、前に進むことができました。

広く知らせるために成果を学会で発表

――実証実験についてはどう評価していますか。

 当初はこのように短時間で臭さを下げられるとは思っていませんでした。想像以上の成果でした。防護環境という閉鎖空間でも、光触媒環境浄化装置によって持続的な効果が得られることがわかりました。検証はうまくいったと考えております。
 このことを広く知ってもらうため、今年3月に大阪にて開催された日本造血細胞移植学会にてこれらの結果を発表しました。医師だけでなく、看護師など多くの医療従事者も多く参加する学会であり、同じような悩みを抱えている他施設の医療従事者と情報交換するには最適と考えました。
 多くの方からご質問がありました。光触媒の効果、本装置は市販されていて手に入れやすいこと、健康被害の恐れがないこと、ランニングコストの点でもリーズナブルであることなど、意見交換ができました。現在、学術論文として発表するための準備をしております。

――今後の展開についてはいかがですか。

 今回は換気が不十分な防護環境の臭い対策に光触媒環境浄化装置を活用しました。しかし光触媒には脱臭以外の効果も期待できます。それらの効果を医療現場に導入できないかと考えて、現在、種々の検証を行っております。
 光触媒には大きな可能性があると思っています。脱臭効果に関していえば、活性炭やフィルターなどで脱臭する装置ではあまりに強い臭いには対応しきれないと考えれます。光触媒は光によって物質そのものを分解してしまいますので、持続的に強い臭気にも対応可能であると思います。
 最初にご連絡した際には、ここまでのご支援をいただき、このような意義ある結果が得られるとは思いませんでした。今後も専門的な立場からの多くの知見や助言をいただけることを期待しています。

全員写真

光触媒を使った環境浄化装置を商品化

盛和環境エンジニアリング

「光触媒の技術はサイエンスです。きちんと立証された仕組みが存在しています。ただし、効くところと効かないとこがあるのも事実です。それを踏まえた上で、効果のある領域での適用を広めていきたいと思います。」

 昭和44年に設立された油圧装置メーカーの盛和工業から、2016年3月に分社化した光触媒を中心とした環境機器メーカー。

 光触媒は、光を当てることで有害物質や悪臭物質、細菌などを分解・除去し、除菌・脱臭・有機溶剤除去などに高い効果をもたらすもの。同社では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究や様々な実証実験を通して得た研究成果と豊富な実績からの独自のノウハウを蓄積。大規模室内から小規模室内まで対応した幅広い製品ラインナップを揃えて、医療機関、工場、研究所、福祉施設、オフィスなどに提供している。

       

栗屋野 伸樹 氏

盛和環境エンジニアリング株式会社
代表取締役社長
栗屋野 伸樹 氏

担当者からひと言

建野祐一郎

NECフィールディング株式会社
ソリューション事業部
商品開発部
エキスパート

「光触媒は悪臭物質や有害物質を分解でき、人体に影響がなく安全で、盛和環境エンジニアリング様の製品は技術的な裏付けを持っています。認知度を高めて、臭いで困っている方のお役に立ちたいと考えています。」

建野祐一郎

 

ソリューション事業部
商品開発部

 “非IT”をキーワードに2015年に新設された部門。現在は、①顔認証とAIやIoTを自社の独自ソリューションと組み合わせて提供するチーム、②ネットワークカメラ、UPS、蓄電池などインフラハードウェアを提供するチーム、③光触媒、生ごみ処理機など新商品を扱うチーム、④ドローンの販売から操縦講習、保守を提供するチームの4つに分かれて新規事業分野の開拓に取り組んでいる。

子安健太郎

ソリューション事業部
商品開発部長

「現在、総勢39名で、商品カテゴリーごとに4つのチームに分かれて新しい商品の開発に取り組んでいます。幅広く社会課題を解決する商品を扱い、技術的な裏付けのある商品を見つけ出し、仕様策定のところからメーカー各社と協力して独自性を持った商品を提供することが強みです。なかでも新しい分野である環境改善の分野に注力しています。」

子安健太郎 商品開発部長

 

※この記事は、当社発行の広報誌ふぃーるでぃんぐ143号に掲載したものです。
※記載されている役職等の情報につきましては、2019年8月27日時点のものです。
※記載されている製品名は各社の商標または登録商標です。

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