2022年3月30日NECフィールディングのDX

川崎テクニカルセンターでロジスティクスのDXを推進

新型コロナウイルスの感染抑制を目的にした非接触やテレワークの拡大で、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業が増えている。
NECフィールディングでもDX導入を加速させており、川崎テクニカルセンターではRFID(無線タグ)による修理品や部品の個体管理、AGV(自動搬送ロボット)による作業効率化、ネットワークカメラ設置による倉庫業務の安全管理に着手している。

 

倉庫の入出荷・在庫管理にRFIDを導入

RFIDタグを読み取るゲート

 川崎テクニカルセンター(神奈川県川崎市)でのDXの導入は、2019年1月に「先端技術導入プロジェクト」がスタートしたことに始まる。川崎テック戦略本部の児玉祥主任は「ロジスティクスでも修理品や部品のデリバリーの効率化、人手不足対策から、DXは不可欠でした」と話す。

 NECフィールディングでは全国で130万点以上の機器本体や部品を保管している。重さ100キロ以上のATMの部品から半導体チップ一つまで、大きさも種類も千差万別。在庫管理などはWMS(倉庫管理システム)で行っているが、入荷や出荷時の検品は人手で行っている。そこで2022年3月から、一部で運用開始したのがRFIDを使った個体管理システムだ。

 RFID導入を担当する川崎テック戦略本部の吉川尚吾は、「まず新規部品の受入時と修理完了品をRFIDタグとバーコードで管理します。3月から実証的に運用を開始し、7月からは本格稼働を始めたい」と話す。

倉庫作業の効率化と安全性向上狙う

 修理ラインに必要な部品を届けたり、次工程に配送するのは、構内を巡回する〝みずすまし〟と呼ばれる担当者の役目だが、人手不足が深刻化すれば十分な人手を割けないケースも出てくる。そこで白羽の矢が立ったのがAGVだ。

「現在導入しているAGVは1台。小型のタイプですが、搬送台車を1台牽引する力があります。AGVの導入で、3人必要だった〝みずすまし〟が2人になれば、1人を他の作業に充てることができます。高齢化や人手不足対策にはAGVは不可欠だと考えています」と導入の効果を話す。

 高齢化や人手不足で課題になるのが作業の安全性確保。NECフィールディングは全国に約200カ所の倉庫を保有しており、1人で管理している通称〝ワンオペ倉庫〟が複数個所ある。

「ワンオペ倉庫は、日中の時間帯は保守員が出入りしますが、夜は完全に1人。その時に転倒するなど不測の事態があって気付くのが遅れれば手遅れになりかねません」(児玉主任)。そこで、AIを使った人検知システムを導入し、監視カメラでモニタリングする仕組みを構築した。AIサーバ2台を導入して各倉庫を巡回的に監視する。作業者の転倒などを検知すると監視センターに通知し、管理者への連絡や必要に応じて救急車の手配などを迅速に行う。この体制を2022年10月から本格稼働する。

 NECフィールディングの倉庫全体では、約1800台のネットワークカメラが配置されている。それを活用して、危険な作業などが行われた場合にアラートを発する仕組みも実現する。「例えば、高所作業で脚立を正しく使用していないとか、上の棚の物を取ろうとして棚をよじ登るなどの危険な行為を検知して知らせるという仕組みも入れていきます」(児玉主任)。

AGV(自動搬送ロボット)

倉庫内の安全に貢献する監視カメラ

AGV(自動搬送ロボット)

 

倉庫内の安全に貢献する監視カメラ

量子コンピューティングで部品配送の最適化へ

 さらにNECフィールディングではNECグループと共同で、カスタマエンジニア(CE)の活動予定に合わせた保守部品の配送効率向上にも着手した。量子コンピューティング(量子アニーリング)で注目されている組み合わせ最適化問題の解決を応用し、首都圏の保守作業予定から配送方法、配送ルートなど最も効率がよい方法を計算する。首都圏での修理件数は1日数百件。CEの出動計画に沿って、交通事情を加味しながらパーツセンターから部品を配送するには、緊急対応や時間指定への対応、配送エリアや部品のサイズ等、配送手段の組み合わせは膨大になる。そこで量子コンピューティングを使って最適な配送ルートや配送順を計算し、配送の効率化と、それによるCO2削減をすることが狙いだ。

IT仕事人ファイル

児玉 祥

川崎テック戦略本部
主任

1998年入社以来バックヤード業務に携わる。川﨑テクニカルセンターのDX推進プロジェクトを担当しているが、本業は倉庫のサービスレベル向上などの品質管理業務。長年のバックヤード業務の経験を生かしながら「新しいテーマや技術習得にチャレンジし続けることがモチベーションを高める秘訣」と、DX推進にも前向きに取り組んでいる。「これからもスキルを生かしてバックヤード業務の効率化と品質向上に取り組んでいきたい」と胸を張る。

吉崎 尚吾

川崎テック戦略本部

2020年入社。川崎テクニカルセンターに配属となり、倉庫業務のDXに積極的に取り組む。学生時代は理工系でコンピュータのプログラミングの技術を習得。「RFIDのテスト段階で使用するラベルを発行するツールは自分がプログラミングしました」。プログラミングのスキルを活用して「ちょっとした工夫を加えるとかチャレンジするのが楽しみです」と自信を示す。趣味は家庭菜園。農園を借りて野菜を作る本格派だ。

 

  • ※この記事は、当社発行の広報誌ふぃーるでぃんぐ151号に掲載したものです。
    ※記載されている役職等の情報につきましては、2022年3月30日時点のものです。
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