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2017年11月8日第5回 密漁監視システム

AIと高解像度カメラを駆使した
密漁監視のソリューションを提供

中華料理では高級食材として珍重されているナマコ。その国内有数の産地が青森県の陸奥湾だ。
しかし近年、ナマコの密漁が横行している。そこで青森県漁業協同組合連合会は、高解像度カメラとAIを活用して密漁船を検知する「陸奥湾密漁監視システム」を導入。
2017年4月から本格的な運用が始まった。そのシステムを構築したのがNECフィールディングである。

密漁監視システムで「世界一」目指す

IT仕事人 深津

 青森県漁業協同組合連合会(以下、青森県漁連)によれば、ナマコ密漁の被害は年間1億~2億円にも達するという。漁師の収入になるはずの金額が密漁により失われており、漁業資源の枯渇も危惧されている。陸奥湾の各漁協では、稚ナマコを放流し、毎年漁場を変えることで資源保護を行っており、密漁はそうした努力を無にする行為だ。
 「NECの代理店経由で陸奥湾に監視カメラを設置したいという話がきたのがきっかけでした」と、NECフィールディング・ソリューション事業部の深津祐幸マネージャーは2015年当時を振り返る。「一般的な監視カメラ機器と、高解像度カメラ、さらに熱を感知できるサーマルカメラを内蔵したハイスペック製品のカタログを持って話を聞きに行きました」という。深津マネージャーは、「その時は、青森県漁連様がどのようなシステムを検討しているのか未知数でした」という。
 青森県漁連様によると、一般的な監視カメラではなく、むしろハイスペックなカメラを設置して陸奥湾全体を監視したいという要望だった。深津マネージャーは「世界で最初、しかも一番のシステムを構築したい」と意欲が湧いてきたという。

24時間365日AIで密漁船を監視

 「世界で最初、しかも一番」となると一筋縄ではいかない。国内外の多くのカメラベンダーをあたり、最適なスペックを持った監視カメラを探し当てた。
 密漁船の監視では、昼間は高解像度の撮像用として機能し、夜間は熱を感知するサーマルカメラを併用する。陸奥湾全体をカバーするために、複数台のカメラを設置することになった。
 プロジェクトマネージャーを務めたLCM事業部東京システム部の大澤悦弘マネージャーは、「計画のスケールの大きさもあって、様々な申請業務が必要でした。そのため認可が下りるまでに時間がかかり、スケジュールの面でもたいへんでした」と話す。「カメラを据え付けるポールの基礎工事などは冬場の作業になりました」という。冬場の建築工事にも慣れている現地の工事会社の協力のもと、「急ピッチで進めて間に合わせることができました」(大澤マネージャー)
 陸奥湾のナマコ密漁監視システムでは、NECのAI技術である「RAPID機械学習」を活用している。人手をかけて24時間365日モニタリングする作業をAIが自動的に行ってくれる。

機械学習技術を活用した不審船検知


 ソリューション事業部マーケティング戦略部の金子賢一エキスパートは、「私がプロジェクトに参加したのは受注が決定する直前でした。大変なプロジェクトになりそうだなと感じました」と語る。「近年、機械学習は脚光を浴びているものの、まだ実証事業レベルのものが多い。それを実用レベルで、しかも難しい条件の中で完遂するというのは相当チャレンジングなことでした」という。

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