2016年9月13日ドローン活用サービス
新しいビジネスを生み出す可能性を秘めているドローン。空撮や防犯監視・警備、土木・建築、防災から貨物運搬など、さまざまな用途が期待されている。 実証実験段階のものや事業化の検討が進んでいる分野も増えており、着実にドローン導入が進んでいる。NECフィールディングでは、2016年4月から本格的に事業を立ち上げた。 これから大きなビジネスに育てる計画で、すでに引き合いが急増している。
保守・教育・運用の取り込み狙う
ドローンとは、マルチコプターとも呼ばれ、人が乗ることができない回転翼航空機であって、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるものとされている。ICTの進化で飛行性能の向上と低価格化が進み、趣味として楽しむ機体ならば、家電量販店などで数千円程度から購入できる。業務用に使える機体でも十万円程度から購入できるようになった。その一方で、首相官邸に墜落させたり、善光寺や姫路城の文化財に墜落したりといった事件・事故が頻発した。このような事件・事故を避けるためにはルールに則った利用が必要だ。
一方、これまでにはなかった便利なツールとして、新しいビジネス領域の拡大が期待されている。NECフィールディングは、新しいツール、新しい社会インフラとしてのドローンの機能に注目し、ドローン事業への参入を決めた。
「ドローンは家電量販店やインターネット通販で個人でも買える時代になりました。しかし基本的には売切りのため、安全に操縦するためのサポートが考えられていませんでした」と、ドローン事業を立ち上げた1人であるビジネス開拓本部新事業推進部の大塚秀樹主任は話す。保守や運用、教育といったサポート事業はNECフィールディングの“本業”。「全国に展開する拠点を生かして、保守や教育を提供できるのが強み。ドローンメーカーにとっても、当社と組むことは大きなメリットがある」(大塚)と、IT保守で築いてきた資産を武器にドローン事業を進める。
世界シェアトップのDJI製品を取り扱う
今回のドローン事業展開では、市場開拓のためにドローンの販売からスタートした。販売する機体はDJI社の製品。主力となるのは4月に発売開始した「Phantom4」で、新しく自動追尾、障害物検知機能を搭載し、さらに、その他の機能も向上させた本格派だ。また、4Kカメラには機体が傾いても水平を維持するジンバルを搭載し、バッテリー残量が少なくなったり遠隔操作の通信が途絶えた場合には離陸地点に自動で戻る機能、機体操縦の練習ができるフライトシミュレーターも当然搭載している。
「DJI製のドローンは高性能で低価格。そのためDJI製のドローンは世界シェア70%を占めています」(大塚)と、ドローンではトップメーカーの位置にあると話す。日本進出は、どの企業も日本市場でのサポート体制が課題であり、NECフィールディングが、アフターサポートを提供することで販路拡大を図る。「ドローン事業が拡大していく過程で、教育や保守の需要も増えていくと考えています」(大塚)と語る。
安全な飛行のために教育・研修を開始
その背景には「ドローンに対する関心は高いのですが、ドローンで何ができるのか、また法律による規制があることを知らないケースが多い」(大塚)ことがある。
2015年12月に航空法が改正施行され、機体重量200g以上のドローンやラジコン飛行機は、空港などの周辺上空、住宅地やオフィス街など人口密集地域(1平方キロメートルあたり4000人以上の地域)の上空、高度150m以上の空域などでは基本的に飛行が認められない。空撮や警備などの業務用でこれらの空域を使用する場合は、国土交通省航空局安全部運航安全課や各地の空港管理事務所などに事前申請し、許可を得る必要がある。
また、夜間飛行や目視外飛行、人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m未満の飛行、イベント上空飛行、危険物輸送、物件投下も禁止されており、同様に申請と許可が必要になる。ちなみに体育館や倉庫、工場など閉鎖空間や、ネットで覆われた空間は禁止対象から除外されている。