2019年4月16日
第1回 ネットワークの仕組み<前編>有線接続と無線接続
ケーブルを繋がなくてもインターネットができる無線LAN。
その利便性の高さから急速に普及が進み、あっという間に多くの場所で利用されるようになりました。
それに伴い、これまでは有線LANでインターネットを利用していた会社・オフィスでも、無線LANを導入する動きが加速しています。
無線LANの利用に必要なのはインターネット回線とルーターだけですので、必要なものを揃えるのは簡単です。
しかし、いざ接続しようとすると、「家では接続できるのに、会社だと何故か接続できない」というようなケースが存在します。
「突然繋がらなくなった」「何故かこの位置だと繋がらない・繋がりにくい」ということも多い無線LAN。これは一体どうしてなのでしょうか。
その疑問を解明するためには、ネットワークの仕組みを知ることが必要不可欠。
そこで今回からは、普段当たり前のように使っているネットワークが一体どのような仕組みで通信を行っているのか、前後編の2回に分けて解説したいと思います。
たくさんの用語が登場しますが、可能な限りわかりやすく解説していきますので、どうぞ最後までお付き合い下さい。
そもそもネットワークとは何か
ネットワークの仕組みについて説明する前に、そもそもネットワークとは何か、という点について簡単にご説明したいと思います。
以前、コラム「WANとLAN」でもご紹介しましたが、ネットワークにはLANとWANという2つの種類があります。
LANは家庭や職場などの比較的狭い範囲内で使われるネットワークで、WANは世界規模で繋がっているネットワークです。
狭い範囲を高速かつ安全に結ぶLANと、世界中を結ぶWANの組み合わせにより、ネットワークは成り立っているのです。
LANが情報を伝達する方法には、有線(ケーブル)接続と無線接続の2種類があります。
それぞれどのような仕組みなのか、以下に1つずつご紹介します。
有線接続の種類と仕組み
ケーブルを利用してネットワークを構築する有線接続には、大きく分けて「電気ケーブル」を利用する方法と「光ケーブル」を利用する方法の2つがあり、それぞれ仕組みが異なります。
電気ケーブルを利用する方法
有線で情報を伝達する1つ目の方法は、電気ケーブルを利用する方法です。
この方法では、ケーブルを電圧の波(交流)が通ることにより情報を伝達します。
電気ケーブルと聞くと馴染みがないかもしれませんが、みなさんがよく利用している「LANケーブル」もこの「電気ケーブル」の一種です。
LANケーブルの内には8本の銅線が通っています。この銅線はTP(ツイストペア)ケーブルといい、2本ずつペアで捻ってあります。
TPケーブルが捻ってある理由は、電磁波によるノイズ(雑音)を減らすためです。
ケーブルの中を交流が通過する際、微弱ですが不要なノイズが発生します。
ケーブルを捻ることで、ここで発生するノイズを打ち消し、ノイズの影響を抑えることができるのです。
光ケーブルを利用する方法
2つ目の方法は、光ファイバーケーブルを利用する方法です。
この方法では、電気ではなく、光の力を用いて情報を伝達します。
光も電気と同じように、波となってケーブル内を通っていきます。
交流に比べ長距離まで届き、ノイズも入らないことから、光を用いたネットワーク通信は電気に代わる通信手段として広く普及しました。
光ファイバーケーブルの内部はガラス管になっており、中央の「コア」とその周囲を包む「クラッド」から成り立っています。
この「コア」と「クラッド」の間では屈折率に差があるため、光を通すと反射します。この反射する性質を利用し、ガラス管の内部で反射を繰り返すことで情報を遠くまで伝達していきます。
無線接続の仕組み
無線接続ではケーブルの代わりにアンテナを利用します。
アンテナからアンテナへ電波を発信することで、空気中を電波が通り、情報が届けられます。
アンテナは無線LAN対応のデジタル機器や、無線LANルーターに内蔵されています。
このアンテナは受信の役割も果たすため、アンテナ同士が電波の届く範囲にあれば、ケーブルを使わずに情報を送受信することが可能となります。
ケーブルという制約がなく便利である一方、アンテナ同士の距離が離れたり、アンテナとアンテナの間に障害物があったりすると、電波が届かなくなり通信することができなくなります。
まとめ
ネットワークにはLANとWANの2つの種類があり、更にLANは有線と無線の2つに分かれています。
有線LANには電気ケーブルを用いる方法と光ケーブルを用いる方法の2種類があり、それぞれ電気・光の力を使い、安定したネットワークを作り出します。
無線LANはアンテナからアンテナへ電波を送信することにより情報を伝達します。
ケーブルを使わなくて良い反面、電波の届く範囲、かつ電波の通り道が確保されている状態でないと繋がらないというデメリットもあります。
ネットワークの種類や仕組みについてご説明したところで、次回はいよいよ、これらのネットワークがどう機器同士を結び通信していくのかを解説していきたいと思います。 次回もぜひご覧下さい。