2018年10月2日第1回 クラウドとは? - 新しいICTの仕組みを理解する
近年「クラウド」や「クラウドサービス」という言葉について耳にする機会が増えてきました。Microsoft Word形式のファイルなどを編集できる「Googleドキュメント」や、Excelと類似の機能を提供する「Googleスプレッドシート」などを活用されたことのある方は多いでしょう。これらもクラウドサービスの一例です。その他、写真共有や、システム開発におけるプログラムの共有にも、クラウドサービスが活用されています。
クラウドサービスを活用するユーザからは、「ソフトをダウンロードしなくても使えるので便利」「ファイル共有の際にメールを出す必要がなくなり、業務不可が減った」といった声が聞かれます。本シリーズでは、注目のICT技術である「クラウドサービス」について詳しく解説を行います。
クラウドとは?
クラウド(cloud)、直訳すると「雲」を表す言葉です。
前述したようなクラウドサービスを利用するとき、「PC内ではなく、遠くにあるデータを編集している」という感覚を持つ方もおられるでしょう。そういった方にとって、「雲 = 遠くに浮かんでいるもの」というネーミングは、何となく直感に合う名前だなと感じられると思います。一方で、技術的にはクラウドはどのように定義されるのでしょうか。
クラウドサービスを理解するためのポイントは2点、「データがサーバ上に存在する」ことと「アプリケーションがサーバ上に存在する」ことです。
※ サーバとは、アプリケーションなどのサービスを提供するコンピュータのことです。詳しくは「サーバ」に関する記事シリーズをご覧ください。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
■データがサーバ上に存在する
クラウドサービスでは、文書や写真など、サービスが取り扱うデータは全てサーバ上に存在しています。例えば、PC内に存在する文書をGoogleドキュメントで共有・編集する際は、Googleが保有しているサーバにアップロード(送信)した上で編集するという仕組みになっています。
■アプリケーションを実現するプログラムがサーバ上に存在する
アプリケーションとは「応用ソフトウェア」とも呼ばれ、我々がPC上で行うさまざまな業務を実現するものです。
例えばアプリケーションの一例である、Microsoft Wordを考えてみましょう。普段我々が当たり前に用いているMicrosoft Wordのあらゆる機能は「プログラム」によって実現されています。例えば下記のような機能などをイメージしてみてください。
● 文章を記入し、保存する
● 選択箇所の文字サイズを15ptに変更する
● docファイルをPDFファイルに変換する
これら機能を実現するMicrosoft Wordのプログラムは、PC内に存在します。
一方で、クラウドサービスであるGoogleドキュメントでは、プログラムはユーザのPC内ではなく、サービスの保有するサーバ上に存在します。
クラウドサービス メリット・デメリットのまとめ
上記から、クラウドサービスのメリット・デメリットは下記のようにまとめることができます。
メリット
● サービス利用のためにソフトウェアをインストールする必要がない
● オンラインでファイルの編集履歴を記録することの出来るサービスも存在する
● 他のユーザとファイルやデータの同時編集が出来る
デメリット
● 何らかのネットワーク障害が生じると、サービスの利用やデータへのアクセスが不可となる
● 近年登場してきた技術のため、社内のセキュリティガイドラインが整備されていない場合がある
次回の記事ではクラウドのビジネス活用イメージと、クラウドを活用したビジネスに内在するリスクについてご紹介いたします。ご期待ください。