2018年8月22日第1回 LANとWAN - ネットワークの仕組み
障害が起きた時こそ、ネットワークの仕組みを知ることが大切
業務で日常的にネットを利用するにも関わらず、情報システム部門 やPCトラブルに対応できる社員がいないA社。
そんなA社で、ある日突然ネットが繋がらなくなる障害が発生した場合、一体どんな状況になるでしょうか。
「慌てて業者に連絡はしたものの、到着までに時間がかかり、その間の仕事は全てストップ」
「どうにか自分たちで対処できないかと、PCに比較的詳しい社員であるBさんを呼ぶものの、Bさんもネットワークについては詳しくないため、どう対応して良いのかがわからない」
…もしかしたら、このような状況になるかもしれません。
上記はあくまで例ですが、このような状況・立場を経験したことのある「A社のBさん」は、意外と多いのではないでしょうか。
パニックに陥る職場の中で、「こんな時、もう少し知識があれば何とかできるかもしれないのになあ…」と考えた方もおられるかもしれませんね。
ネットワーク障害が発生した時に大切なのは、ネットワークの仕組みを知ることです。
仕組みさえ知っていれば、障害が発生した際、どこに問題があり、どう対処していけばいいのかが見えてきます。
そこで今回からは、Bさんのような「いざとなった時に対処できるようになりたい」方向けに、ネットワークの仕組みや、その構成要素であるLAN・WANについて、3回に分けて解説していきます 。
第1回目となる今回は、2種類のネットワーク「LAN」と「WAN」について、それぞれの特徴や違い等を説明していきます。
ネットワークには「LAN」と「WAN」の2種類がある
ネットワークには「LAN」と「WAN」の2種類があります。
LANは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」、WANは「Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク」の略で、「ローカル」「ワイド」の名が示す通り、接続できる範囲が異なります。
また、それ以外にも、LANとWANには多くの特徴や違いがあります。
両者について、それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。
LANは「近くにある電子機器同士を繋げる」ためのネットワーク
LANは一言で表すと「近くにある電子機器同士を繋げる」ためのネットワークです。
社内でPC同士を接続し、情報を共有することがありますよね。
このPC同士を繋ぐネットワークがLANです。
また、PC同士に限らず、PCとプリンターを繋ぐネットワーク等もLANと呼ばれます。
LANはオフィスや家の中等、比較的狭い範囲にある電子機器同士を、高速かつ安全に結ぶことができるネットワークです。
LANには直接ケーブルで繋ぐ有線のものと、電波を通して接続する無線のものが存在します。
電波で接続するもの、と聞くと馴染みがないかもしれませんが、私たちが日常的に使っている「Wi-Fi」は、無線LAN接続を行うための技術です。
Wi-Fiについては次回以降に詳しく解説しますが、Wi-Fiの普及により、これまで以上に多くの人が便利にネットワークを利用できるようになりました。
WANは「遠くにある電子機器同士を繋げる」ためのネットワーク
一方、WANは一言で表すと「遠くにある電子機器同士を繋げる」ためのネットワークです。
WANは通常のLANでは届かない範囲の電子機器同士を結びます。
先ほどの社内PCを接続する例で言えば、一つの建物内にあるPC同士を繋ぐのであればLANで充分ですが、東京本社と大阪支社のPCを接続したい場合、LANではカバーしきれません。
そんな時、ルーターを通してLANとWANを接続させれば、東京と大阪でも、それよりも遠く離れた場所にある電子機器同士でも通信を行うことが可能になります。
WANも一般的に馴染みのない言葉ですが、実は「インターネット」もWANの一つです。
インターネットは世界規模のWANです。世界の大陸と大陸の間には高性能の海底ケーブルが敷かれており、私たちはこの海底ケーブルを通して、世界中の人々とインターネット通信を行っています。
海外で行われているスポーツの試合をリアルタイムで観ることができたり、海外旅行先から日本にいる家族にメールを送ることができたりするのは、実はこの海底ケーブルのおかげなのです。
便利な「ネットワーク」は2種類の回線の組み合わせ
LANとWANがそれぞれどんなものなのか、何となくお分かりいただけましたでしょうか。
近くにあるPC同士を繋げるためにはLANが必要で、遠くにあるPC同士を繋げたり、インターネットを利用したりするためにはWANが必要です。
便利な「ネットワーク」は、この2種類の回線の組み合わせでできているのです。
ネットワークの仕組みが分かったところで、次回は実際にネットに繋がらなくなる障害が発生した際にどうすればいいのか、一般的な考え方と対処法をご紹介します。
次回もぜひご覧ください。