2019年10月15日Windows 10 の配信の最適化とは
Windows 10 は従来のような大きなバージョンアップがない代わりに、定期的なアップグレードによるセキュリティ向上や機能追加が実施されます。
デフォルト設定ではアップデートが自動的に実行されますが、アップデートに伴うトラブルもいくつか報告されています。特に企業にとって頭が痛いのが、多数のPCが同時にアップデートを開始することにともなう通信帯域の圧迫です。
今回はこの問題を解決する「配信の最適化」機能について説明します。
Windows 10 のアップデート機能とは
Windows 10 のアップデートにはさまざまな種類がありますが、ネットワークにつないでいる限り拒否はできませんし、拒否するべきではありません。
では何のために、どのような種類のアップデートがあるのでしょうか。
アップデートの種類
Windows 10 は、バージョンアップはないとされていますが、その代わりに定期的なアップデートによって機能の追加やセキュリティ向上などが計られています。
この「アップデート」には大きく分けて5つの種類があります。
・機能更新プログラム
・品質更新プログラム
・定義更新プログラム
・ドライバー更新プログラム
・その他の更新
アップデートに伴うトラブル
アップデートは、PCのセキュリティの確保や機能を最新に保つために必要なものですが、場合によってはトラブルを併発することもあります。
なかでも、システム管理者の頭を悩ませる問題としてアップデートデータのダウンロードのため、通信が集中して帯域を圧迫するという問題があります。
通信量を削減する機能
Windows 10 には、アップデート時の通信量を削減する機能が含まれています。
配信の最適化
最新の機能で、Windows 10 のバージョン1511以降で利用可能です。その後、追加機能が実装されており、フル機能はバージョン1709以降で利用できます。
設定したネットワーク内でP2P技術を用いて通信を行うため、社外との通信帯域を圧迫しません。
BranchCache
社外との通信結果をキャッシュサーバや端末のキャッシュエリアに保存し、他の端末からリクエストが有った場合はそのキャッシュから読み出す機能です。社外との通信量を削減できるため、アップデート時の帯域圧迫を避けられます。
BITS
BITS(Background Intelligent Transfer Service)は空いている帯域だけを使って通信を行う機能です。通信量の総量自体は削減できませんが、回線が空いている部分のみ使用するため、他のアプリの通信に影響を与えません。
配信の最適化の使い
Windows 10 最新版では、前項のような仕組みを組みあわせて通信量の削減を行えるようになりました。
デフォルトでも配信の最適化は有効になっていますが、会社のシステムに合わせて設定変更が可能です。システム全体の設計に係わることですので、設定変更を行う際はシステム管理者などの指示に従いましょう。
設定方法
通信の最適化の設定を変更したい場合は次の操作を行います。
「設定」→「Windowの設定」→「更新とセキュリティ」→「詳細オプション」→「配信の最適化」
「他のPCからダウンロードを許可する」をONで配信の最適化がONとなります。さらに「ローカルネットワーク上のPC」を選ぶと社内LANの端末とのP2P通信となるため、社外ネットワークの帯域圧迫を防げます。また、「詳細設定」で他PCとの通信を制御できます。
レジストリ変更を用いた設定方法
PCのレジストリに直接コマンドを追加する事も出来ます。コマンドは以下の通りです。
reg add HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\DeliveryOptimization /v DODownloadMode /t REG_SZ /d 3 /f
/dの後の変数により通信方法を選択。
0:配信の最適化を利用しクラウドサービスへ接続するが、HTTPのみ。
1:ローカルネットワーク上のPCを選択した場合と同じ。
2:1+Active Directory上の同じドメイン内のPC
3:ローカルネットワーク上のPCとインターネット上のPCを選択した場合と同じ
99:配信の最適化を利用するが、クラウドサービスは接続せずHTTPのみ。
100:配信の最適化を使用せず、BITSでダウンロード。
企業では1か2で帯域節約を行う事が一般的です。
まとめ
Windows 10 の更新プログラムのタイミングで通信が遅くなる場合は、データのダウンロードが通信帯域を圧迫している可能性が有ります。配信の最適化などの設定を確認し、自社システムに合った設定を探してみましょう。